2008年度第8回学融合セミナー
- 講義:
- 2009年1月21日 17:30~19:00
- 場所:
- 新領域基盤棟大講義室(2C0)
次世代バイオイメージング法の目指すところ~1分子計測の歴史的役割~
佐々木 裕次 教授
生命現象の素過程は多くが単一分子同士の相互作用で理解できます。しかし生 命科学を進展させた分子生物学における研究手法がマクロな計測であった事は当 たり前のように思えますが意外とも言えます。平行してその場固有の生命現象が 注目されイメージング技術が発展し、バイオ領域での光学顕微鏡の地位は現在益 々重要性を増しています。同じ装置(波長)を使って、工夫すれば1分子の挙動 も見ることができるのであれば、多くの研究者が見たがるのは当然で、それが 2008年ノーベル化学賞受賞につながりました。先端バイオイメージング法の代表 である1分子計測法の登場で、何が分かったのか、何がやっぱり分からないのか を整理し、次世代に必要なバイオイメージング「像」を考察してみます。
遺伝子の社会としてのゲノムと生命:その維持と進化のダイナミックス
小林 一三 教授
生命は自己を忠実に維持する面と時にドラスティックに進化する面とを併せ持 つ。この両面性を理解する鍵になるのが、生命研究の中心的なツールである、 DNAを切断する制限酵素である。それらは、侵入DNAに対して細菌が持つ感染防御 の道具と考えられてきた。私たちは、制限酵素の遺伝子が時にホストをも攻撃す るウイルスのような「利己的な動く遺伝子」であることを明らかにした。それら がどのようにホストの死をプログラムし、またゲノムを造り替えていくかについ て紹介し、遺伝子の社会としてのゲノムの維持と進化について考えたい。
開発援助は途上国の役に立っているのか?
戸堂 康之 准教授
これまで開発途上国には先進国から多くの政府開発援助が供与されてきた。し かし大規模な援助が供与されたアフリカ諸国で貧困削減が進まないことなどか ら、援助の効果についてこれまで活発な議論が展開されてきた。特に近年では、 援助が途上国の経済発展に及ぼす影響についての定量的な分析が多くなされてお り、これらの研究成果について解説する。