2010年度第4回学融合セミナー
- 講義:
- 2010年7月28日 16:30~18:00
- 場所:
- 新領域基盤棟大講義室(2C0)
核融合開発と今後の研究課題
高瀬雄一 教授
核融合は自然界では太陽を初め星のエネルギー源となっていますが、地球上で実現するのは極めて困難です。磁場で閉じ込めたプラズマを使った核融合の開発は過去50年で飛躍的に進展し、現在国際協力で建設中の国際熱核融合実験炉(ITER)では、核融合出力が外部加熱入力を1桁上回る「燃焼プラズマ」の実験を行う予定です。一方、核融合炉の実現性を高めるためには、経済性向上に結びつく高性能化が必要であり、本研究科でも「球状トカマク」を用いた実験が行われています。将来展望も含め、他分野の学生の方々にもわかり易く解説します。
植物とウイルスのせめぎあい;サイレンシングとサプレッサー
鈴木 匡 准教授
植物ウイルスの多くはRNAをゲノムとしている。植物がウイルスに感染すると、ウイルスゲノム複製の過程で生じる二本鎖RNAを介して標的RNAを分解・翻訳抑制するサイレンシング機構が発動し、ウイルスRNAの増殖を抑制する。一方、ウイルスはそれに対抗してサイレンシングを妨げるサプレッサータンパク質を獲得して進化してきた。さらに、植物ウイルスの中でもDNAをゲノムとしているウイルスも、サイレンシングのサプレッサーを持っている。これら植物ウイルスのサプレッサータンパク質の研究について一部を紹介したい。
海底熱水鉱床:環境へのインパクト
飯笹 幸吉教授
日本周辺の海域のみならず中央海嶺にも、活動的な海底熱水鉱床が数多く報告されている。多くの海底熱水鉱床には、無数の活動的なチムニーが存在しており、そこから様々な物質が放出されている。この実態を把握・理解することによって、将来的な商業開発に伴う環境へのインパクト軽減について考える。