教員紹介

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陳 昱

(ちん ゆ/教授/環境学研究系)

人間環境学専攻/人工環境学講座/数理システム

略歴

1989年9月上海交通大学熱工学科卒業
1991年9月東京大学大学院工学系研究科原子力工学修士課程修了(修士)
1994年9月東京大学大学院工学系研究科システム量子工学博士課程修了(工学博士)
1994年10月東京大学工学部助手
1998年11月東京大学工学部講師
1999年5月東京大学工学部助教授
1999年6月東京大学大学院情報学環助教授
2004年4月東京大学大学院工学系研究科准教授
2011年4月東京大学大学院新領域創成科学研究科准教授

教育活動

大学院:複雑系のシミュレーション(予定)
工学部システム創成学科:連続系の科学
工学部システム創成学科:システムモデリングI (流体力学と伝熱工学)
工学部システム創成学科:マーケットの数理
復旦大学物理学科(上海):経済物理

研究活動

複雑系のシミュレーション(Simulation of Complex Systems, SCS)の研究を推進している。
21世紀の工学問題を複雑系の典型例として、離散モデル(Discrete Models)を用いたシミュレーションによって、システム機構の解明と問題解決手法の発見を目指している。
1) 金融市場のエージェントベースモデル化とシミュレーション
  複雑適応系の典型例としての金融市場を研究対象とし、エージェントベースモデルを用いた市場シミュレーション及び多市場間の連成シミュレーションの研究を推進している。金融市場における複雑事象を再現するだけでなく、そのメカニズムや、内部構造などの解明も進めている。(文献1)
2) 市場原理を解明する行動ゲーム実験とマルチエージェントシミュレーション
  市場主導の資源分配ゲーム(Market Directed Resource Allocation Game)を構築し、行動ゲーム実験とマルチエージェントシミュレーションを行った。神の見えざる手の原理とそれが働くための必要条件を解明してく。(文献3)



行動ゲーム実験とエージェントベースモデルの構築


3) 横毛管現象の格子ボルツマンモデル化とシミュレーション
  研究対象は複雑物理系の典型例であり、気液界面・液膜中に存在する微粒子間の相互作用である。離散運動論に基づいて統合化モデルを構築し、格子ボルツマンシミュレーションによって横毛管力の物理を解明していく。(文献4)
4) 粘弾性多相流れの格子ボルツマンモデル化とシミュレーション
  粘弾性効果を考えた多相流れは極めて複雑な流体現象である。バネビーズモデル(Spring-Beads Model)を配向空間で離散化を行い、格子ボルツマン粘弾性の多相モデルを構築した。このモデルを用いて非ニュートン流体中の気泡上昇などのシミュレーション研究を行っている。(文献6)



格子ボルツマン法による複雑流体シミュレーション

文献

1) Tomoko Ohi, Yasuhiro Hashimoto, Yu Chen, and Hirotada Ohashi. “Simulation of Futures and Spot Markets by Using an Agent-Based Multi-Market Model,” Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics, 15(2), pp204-211, 2011.
2) Hidenori Komatsu, Yasuhiro Hashimoto, Yu Chen, Hirotada Ohashi, “Artificial embryogeny for network structures and its application for a robot generation task,” Journal of Artificial Intelligence, 25, pp423-432, 2010. (in Japanese)
3) Wei Wang, Yu Chen and Jiping Huang, “Heterogeneous preferences, decision-making capacity, and phase transitions in a complex adaptive system,” PNAS (Proceedings of the National Academy of Sciences), 0811782106, 2009.
4) Junya Onishi, Atsushi Kawasaki, Yu Chen and Hirotada Ohashi. “Lattice Boltzmann simulation of capillary interactions among colloidal particles,” Computers and mathematics with Applications, 55(7), pp1541-1553, 2008.
5) Atsushi Kawasaki, Junya Onishi, Yu Chen and Hirotada Ohashi. “A lattice Boltzmann model for contact line motions,” Computers and mathematics with Applications, 55(7), pp1492-1502, 2008.
6) Junya Onishi, Yu Chen and Hirotada Ohashi. “Dynamic simulation of multi-component viscoelastic fluids using the lattice Boltzmann method,” Physica A, 362(1), pp84-92, 2006.
7) Yuji Sakazaki, Shinnosuke Masuda, Junya Onishi, Yu Chen and Hirotada Ohashi. “The modeling of colloidal fluids by the real-coded lattice gas,” Mathematics and Computers in Simulation, 72(2-6), pp184-189, 2006.

その他

日本原子力学会、応用物理学会各会員。

将来計画

当研究室は常に複雑系の科学研究の最前線に立ち、研究を進めています。これからは、精力的に基礎研究を続けながら、複雑系のシミュレーション(SCS)を生かし、環境、経済、社会を含む実際の工学問題に応用する研究も行いたいと考えています。

教員からのメッセージ

物理システムであれ人間社会システムであれ、複雑系のモデル化とシミュレーションの研究を一緒に楽しみましょう!

ホームページのURL

http://www.scslab.k.u-tokyo.ac.jp/