教員紹介

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小林 博樹

(こばやし ひろき/教授/環境学研究系)

社会文化環境学専攻/空間環境情報学協力講座/アニマルウェアラブルやユビキタスセンサを統合し、遠隔地自然環境とユーザーの間を物理的に分断したままで、全体として高度な情報処理・持続的社会を実現するインタフェースの構築

略歴

2001年1月 日本総務省大臣官房管理室新千年紀記念行事推進室所属
2005年6月 米国カリフォルニア州立大学自然科学科計算機科学学部卒業
2007年9月 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
2009年4月 日本学術振興会 特別研究員
2010年12月 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了
2011年4月 北陸先端科学技術大学院大学特任研究員
2012年4月 東京大学空間情報科学研究センター 特任助教
2013年9月 東京大学空間情報科学研究センター 助教
2015年10月 科学技術振興機構 さきがけ研究者 (現職・兼任)
2016年4月 東京大学空間情報科学研究センター 講師
2017年8月 東京大学空間情報科学研究センター 准教授
2020年4月 東京大学情報基盤センター教授(現職)

研究活動

1.手がかり情報のやり取りでつながり感を醸成するアニマルコンピュータインタラクションの研究:
本研究は“自然との一体感“を科学技術により取り戻すこれまでにないインタフェースデザインの研究である。人間が生態系に物理的に接触すれば生態系の破壊は不可避であり、生態系保全には物理的な分断がもっとも効果的な手法である。しかし、自然遺産や天然記念物は観光産業や農林業と密接に結びついおり、完全な分断も不可能である。本研究ではリモートセンサを統合し、遠隔地自然環境とユーザーの間に一体感を創出するインタフェースを提案する。物理的に分断された遠隔地実空間の森林のサウンドスケープと、都市ユーザーの間に、実時間な情報的な接触(インタラクション)を生む機構を研究開発する。
1.手がかり情報のやり取りでつながり感を醸成するアニマルコンピュータインタラクションの研究


2.生態相互作用と融合した省電力型な動物装着型センサ・ネットワーク機構の研究:
従来の野生動物調査用の装着型環境センサノードは、生息地特有の電源・情報インフラの制限やセンサ搭載可能重量の限界からノード間通信を長期的に行うことが困難であり、調査可能なエリアが極めて限られていた。そこで調査対象である野生動物群の生態相互作用に着目し、省電力なセンサ・ネットワーク機能を実現し、さらに鳴き声センシングまで踏み込んだ機構の実現を目的とする。これにより「野生動物自身が鳴き声センサを持ち歩き、単独行動時に取得したデータを、集団行動時に省電力で共有・回収するシステム」を実現する。福島第一原子力発電所周辺で実証実験を行い、高線量地帯周辺における野生動物の生態・被曝モニタリングを支援していく。

2.生態相互作用と融合した省電力型な動物装着型センサ・ネットワーク機構の研究


3.野生動物装着センサ用の時空間情報補正機構の研究:
野生動物装着型センサノードから得られる記録に着目した場合、正確な時刻・位置情報は期待できない。装着可能な重量制限から、内部時計や慣性航法記録装置はない。さらには森林環境の地表付近では衛星から測位信号・電波時計信号も入りにくい。障害物(植物や動物自身の体)が装着型アンテナを遮るからである。そこで時刻・位置情報の欠損時の補正手法やシステム全体の長寿命化が重要となる。本研究では森林に生息する野生動物にマイクを装着することを考えた。衛星信号が入りにくい地表付近でも、環境音には基準になりえる信号が含まれるからである。これらを実現するため、環境音を用いて動物装着型センサでシンクノード上と同等の時刻・位置情報取得を行う補正手法について研究開発を行う。

3.野生動物装着センサ用の時空間情報補正機構の研究


文献

1.Hill Hiroki Kobayashi and Hiromi Kudo. Acoustic Ecology Data Transmitter in Exclusion Zone, 10km from Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant, LEONARDO / Journal of the International Society for the Arts, Sciences and Technology (MIT Press), Volume 50, Issue 2, pp.188-189, 2017.
2.Hiroki Kobayashi, Hiromi Kudo, Vicki Moulder, Michael Heidt and Lorna Boschman. Fukushima Audio Census, In Proceedings of the CHI Conference Extended Abstracts on Human Factors in Computing Systems (ACM CHI EA 2017), Denver, Colorado, USA, pp.1393-1398. 2017.5.6-11.
3.Michael Heidt, Vicki Moulder and Hiroki Kobayashi. Non-Human Writers? Digital Media as Means for Equipping Non-Humans with Auctorial Powers. In Proceedings of the International Conference on Digital Media and Textuality (ICDMT 2016), Bremen, Germany. DVD, 2016.11.4-5.
4.Ko Makiyama, Keijiro Nakagawa, Maki Katayama, Miho Nagasawa, Kaoru Sezaki, and Hiroki Kobayashi, Synchronization of peripheral vision and wearable sensors for animal-to-animal interaction. In Proc. of HCII 2015, Los Angeles, August 2-7, 2015
5.Hill Hiroki Kobayashi. Human-Computer-Biosphere Interaction: Toward a Sustainable Society, More Playful User Interfaces Part of the series Gaming Media and Social Effects, Springer Singapore, pp.97-119, 2015.

その他

ACM、日本VR学会、サウンドスケープ協会、地理情報システム学会、IEEE

将来計画

人も動物も通信端末を持ち歩き、いつも互いを身近に感じられる情報社会の実現を目指している。

教員からのメッセージ

たくさん失敗しましょう。人と違うことをするのはリスクが高いですが、たくさんの学びがあります。

ホームページのURL

http://kobayashi-lab.com/