吉岡 和夫
(よしおか かずお/准教授/基盤科学研究系)
複雑理工学専攻/アストロバイオロジーモジュール/惑星探査,宇宙空間物理学,惑星科学
略歴
2005年3月東京大学理学部地球惑星物理学科卒業
2010年3月東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了 博士(理学)
2010年4月学術振興会特別研究員(PD)(立教大学理学部)
2012年4月独立行政法人宇宙航空研究開発機構 宇宙航空プロジェクト研究員
2015年4月立教大学理学部 助教
2015年10月東京大学大学院理学系研究科 助教
2017年5月東京大学大学院新領域創成科学研究科 講師
2024年10月東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授(現職)
教育活動
新領域創成科学研究科:惑星探査・観測学
理学部地球惑星物理学科:地球惑星物理学実験
駒場全学体験ゼミナール:極限的プラズマの世界―核融合から宇宙まで―
駒場学術フロンティア講義「地球惑星科学のフロンティア」
駒場学術フロンティア講義「惑星科学最前線 生命の宿る星を宇宙に探す」
研究活動
飛翔体搭載に向けた極端紫外光検出器の開発(文献1-5)
低ノイズと高効率を両立した極端紫外光撮像素子を飛翔体搭載に向けて実用化した。これまで2次元の空間情報をもつ光検出器には量子効率の低さ(1%未満)という問題があった。
可視や紫外光を観測する場合には、仕事関数の低い物質を蒸着した薄いガラスを検出器前面に置くことで光電子生成率を向上させられるが、そもそもガラスを透過できない極端紫外光には有効な手段がなかった。
私は理論的な見積もりと室内実験をもとに最適な物質(CsI)を選び、検出器の受光面に直接蒸着する手法を最適化し、光電子生成率を向上させることに成功した。
この結果半導体デバイスに比べて格段に低ノイズながら、2~10倍も高効率な極端紫外光検出器を実現した。
木星磁気圏プラズマの加速機構関する観測的研究(文献6-10)
電子衝突励起でイオンが発する輝線の強度は電子温度や密度に依存する。この性質を利用してCassini探査機(NASA)によるスペクトルデータから木星近傍の電子温度分布の導出に成功した。
また、Galileo探査機(NASA)の粒子計測データと照らし合わせて、木星磁気圏における非熱的高温電子の存在を明らかにした。
この研究は遠隔観測の利点(時間と空間情報の分離)と、粒子観測の利点(プラズマの直接観測)を相補的に活かした手法の確立という点で重要である。
「ひさき」衛星に搭載した極端紫外分光器を開発した。「ひさき」が取得した木星近傍の極端紫外スペクトルを解析し、太陽系惑星で最強のエネルギーを生み出す木星磁気圏の粒子加速機構の理解に寄与する結果を得た。
文献
https://researchmap.jp/kylj0701?lang=ja
その他
地球電磁気・惑星圏学会、惑星科学会、American Geophysical Union
将来計画
飛翔体を用いた惑星大気・プラズマの観測的研究、および搭載用の観測装置の開発を行う。
磁場を持つ惑星(地球・木星など)の近傍で起きる粒子加速現象や、弱磁場惑星(火星・金星など)からの大気散逸現象について、主に遠隔観測手法を用いてアプローチする。
さまざまな形の飛翔体を用いた太陽系惑星探査や、太陽系外惑星の観測技術向上のための技術確立を目指す。
教員からのメッセージ
多くの人々と協力し困難を乗り越え未知の世界に踏み込む生活に魅力を感じたら、一緒に惑星探査を楽しみませんか。