田中 潔
(たなか きよし/准教授/環境学研究系)
自然環境学専攻/海洋環境動態学分野/海洋物理学
略歴
1994年3月 京都大学理学部卒業
2000年5月 京都大学大学院理学研究科 博士後期課程修了、博士(理学)
2000年6月 科学技術振興事業団戦略的基礎研究推進事業 研究員
2002年4月 東京大学海洋研究所 海洋環境研究センター 助手
2011年9月 東京大学大気海洋研究所 国際沿岸海洋研究センター 准教授(現職)
教育活動
海洋環境臨海実習、自然環境学演習
研究活動
沿岸域を中心に、海洋の流れやその変動のメカニズム及びそれらに伴う物質輸送の研究を、数値実験と現場観測を連携させて進めている。例えば、陸から流入する河川水や上空の風などによって沿岸域の海水がどのように流れて、それによって海洋生物の分布や生息に適した海洋環境(水温や塩分、栄養塩濃度など)がどのように形成・維持されているのか、などを明らかにする研究に取り組んでいる(文献1,2,3)。
沿岸海洋研究の例。
左図:桜エビ卵・幼生の漂流シミュレーション(駿河湾の河川河口で産卵後の漂流分布)、
中図:学術研究船による観測風景(水温・塩分測定と採水)、
右図:震災対応航海の航跡・測点図(常磐沖沿岸の放射能汚染調査)。
また、海洋循環研究の基礎的な部分を支える地球流体力学的な視点からの研究(文献4)や、外洋の太平洋規模の海洋循環についての研究(文献5)も行っている。
地球流体力学の研究例:回転系において斜面を沈降する密度流のシミュレーション(傾圧不安定に因る渦の発生)。
文献
1) Tanaka, K. et al. (2011): A numerical study on the transport of eggs and larvae of Sergia lucens in Suruga Bay, Japan. Fisheries Oceanography, 20(3), 206-218.
2) Tanaka, K., et al. (2009): Spreading of river water in Suruga Bay. Journal of Oceanography, 65(2), 165-177.
3) Tanaka, K. et al. (2008): Numerical experiments on wind-driven circulations and associated transport processes in Suruga Bay. Journal of Oceanography, 64(1), 93-102.
4) Tanaka, K. (2006) Effects of the Earth's rotation and bottom slope on a density current descending a sloping bottom. Journal of Geophysical Research, 111, C11018, doi:10.1029/2006JC003677.
5) Tanaka, K. et al. (2004): Predictability of interannual variability in the Kuroshio transport south of Japan based on wind stress data over the North Pacific. Journal of Oceanography, 60(2), 283-292.
その他
所属学会:日本海洋学会、沿岸海洋研究会、水産海洋学会、アメリカ地球物理学連合
将来計画
海洋観測については小型船から大型船まで、数値モデルについては単純な理論モデルから複雑な海洋大循環モデルまでを駆使し、今までに無い新しいアプローチから海洋観測と数値モデル研究を連携させることで、沿岸海洋学の新たな発展を目指す。
教員からのメッセージ
東日本大震災以降は、三陸や常磐沖沿岸での海洋循環・環境の研究にも力を注いでいます。海洋循環の研究を軸にして、物事を科学的・客観的に判断し、論理的に思考し、それらを的確に表現できる能力を身に付け、海洋環境学と社会の橋渡しをしたい人を歓迎します。
ホームページのURL
http://www.icrc.aori.u-tokyo.ac.jp/member/ktanaka/index.html