篠原 孝司
(しのはら こうじ/教授/基盤科学研究系)
複雑理工学専攻/複雑実験系講座/プラズマ物理、核融合科学
略歴
1992年3月東京大学理学部物理科卒業
1997年3月東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了[博士(理学)]
1997年4月日本原子力研究所炉心プラズマ研究部 博士研究員
1998年3月日本原子力研究所 研究員
2003年 6月-2004年 5月 米国プリンストンプラズマ物理研究所へ原子力留学生として留学
2005年4月 日本原子力研究所 副主任研究員
2005年10月 日本原子力研究開発機構 核融合研究開発部門 研究副主幹 (日本原子力研究所の組織改革)
2009年7月 日本原子力研究開発機構 研究主幹
2016年4月 量子科学技術研究開発機構 上席研究員(日本原子力研究開発機構の組織改革)
2020年7月より現職
教育活動
大学院:複雑理工学実験概論
研究活動
太陽の光(エネルギー)が届かない宇宙空間で人類が使える基幹エネルギー源は核反応に基づくものとなります。核反応には核分裂と核融合がありますが、核分裂の場合、燃料であるウランなどは微小金属で宇宙空間にはほとんど存在しません。一方の核融合の燃料である水素などの軽元素は宇宙の多くの場所に存在します。人類が地球を離れ、火星より遠くへ生活圏を広げることができるようになるためには、是非とも手にすべきエネルギー源です。
篠原は核融合実現に貢献するためプラズマ物理の研究や下に記すITERに貢献するための研究を行ってきました。(例えば、文献1-3)
2020年代、核融合研究は新たなステージに入ります。これまでの知見に基づいて設計された2つのマイルストーン的装置の運転が始まります。一つは、ITER(フランス:2025~、文献4)で核融合反応で自身を加熱維持する燃焼プラズマの実験を行います。人類が初めて見る燃焼プラズマです。一つは、JT-60SA(茨城:2023~、文献5)です。燃焼プラズマではありませんが、ITERほど大きくないため機動性を生かして、先進的な運転手法を開発します。
当研究室では、これらの装置で活躍できる若手の育成を目指し、柏キャンパス内においては、球状トカマク型装置(TST-2、文献6)を用いたプラズマ物理の研究、計測手法の開発を行っています。国内外の施設と共同研究も行っています。特にJT-60SA、及び、その前身のJT-60Uのデータを使った研究や計測器の開発も行っています。 ITERが運転開始まで、世界最大のトカマク型実験装置JT-60SA(量子科学技術研究開発機構:茨城)。うすいピンクで示されているドーナツ状の部分がプラズマの模式図。ドーナツ状の部分の最大直径が約8m
文献
1) K. Shinohara, et al., Nuclear Fusion, vol 51 063028 (2011).
2) K. Shinohara, et al., Nuclear Fusion, 58, 082026 (2018)
3) A. Bierwage, et al., Nature Communications, 9, 3282 (2018)
4) https://www.iter.org/
5) https://www.qst.go.jp/site/jt60/5150.html
6) Takase Y, et al. Nucl. Fusion 41,1543 (2001)
その他
プラズマ・核融合学会会員
日本物理学会会員
核融合プラズマ領域委員、及び、領域プログラム委員(プラズマ・核融合学会)
国際プログラム委員 IAEA Technical Meeting on Energetic Particles in Magnetic Confinement Systems
International Tokamak Physics Activity (ITPA) ”MHDと高エネルギー粒子トピカルグループ” 委員
核融合エネルギーフォーラム 物理クラスタ MHD安定性・高エネルギー粒子サブクラスター世話人
JT-60SA研究計画における“高エネルギー粒子物理”の取りまとめ(2009-2021年)
理事(プラズマ・核融合学会)(2019-2021年)
広報委員会委員長(プラズマ・核融合学会)(2020-2021年)
将来計画
JT-60SAは段階的にプラズマ性能を上げていきます。各段階で最重要研究課題は異なっています。
最初の実験キャンペーンで得られたデータを解析するとともに次の実験キャンペーンに向けた予測計算コード/モデル等の開発を行っていきます。
次期実験でその予測の正しさを示す、あるいは、改良を行います。
そうして、そのコード/モデルを使って、ITERの実験へ貢献したり、DEMOの設計に貢献したりしていきます。
教員からのメッセージ
核融合実現に向けて大きく動いています。それがITERとJT-60SAです。核融合コミュニティーはこれら装置で活躍する意欲のある人材を求めています。
人類発展への貢献という壮大な貢献に挑んで見ませんか?