ポール・コンサルヴィ
(こんさるう゛ぃ ぽーる /教授)
サイエンス・コミュニケーション・インプルーヴメント・ラボ/教育支援室
略歴
1987年:シカゴ大学卒業(経済学士)
1991年:国際大学修士課程修了(国際関係学修士)
1992年~1994年:三菱石油株式会社 海外プロジェクト部
1994年~2001年:ING銀行東京支店 シニアマネージャー
2001年~2019年:ネクストユニット合同会社 ベンチャービジネス創業
2012年~2019年:一橋大学国際・公共政策大学院アジア公共政策プログラム 非常勤講師
2016年~2024年:学習院大学経済学部 非常勤講師
2019年~2022年:東京大学大学院新領域創成科学研究科 特任教授
2022年~現在:東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授
教育活動
Critical Thinking Basics - Select concepts, tools, and techniques I and II
Critical Thinking Skills - Applications & Beyond the Basics I and II
Special Lecture X and XI- Socio-Scientific Presentations and Writing Projects
Critical Thinking Micro and Macro Topics, Gakushuin University, Adjunct Professor
Science Communications Improvement Lab (SCIL):
- ・Oversea development and delivery of writing and presentation workshops
- ・Oversea training and development of peer coaches.
研究活動
学融合的研究活動に必須の高いコミュニケーション・スキルの習得を目指して国際的な活動をする研究者のための、最新のトレーニング・メソッドの実践の場として、サイエンス・コミュニケーション・インプルーブメント・ラボ(SCIL)を開設した。この研究活動の目的は以下の二点である。
1.個人学習:学内コミュニケーション文化にインパクトを与える、スキル・ベース・アプローチ
- ・独立した研究者として、よりインパクトのある学位論文やジャーナル論文を目標とする場合の先行研究実践(研究活動フロー)の再構築
- ・学融合的探究のための研究スキルの土台構築
- ・研究者個人のスキル発達の変遷の質的追跡
- ・潜在的共著者・共同研究者の検索プラットフォーム開発
- ・複雑な科学技術の社会科学問題に取り組み、特に少数派の多様な視点を取り入れるための、 グループ・リーダー、プロジェクト・マネージャー、アドボケイト、チェンジ・エージェントなどが採用する包括的かつ効果的なファシリーテーション技術の開発
2.組織的な学習:学内コミュニケーション文化にインパクトを与える参加型研究及びシステム
- ・協働活動の改善、最先端技術の導入、専攻間・領域間のコミュニケーション支援のための、 複数イニシアチブの戦略的展開
- ・学内のコミュニケーション文化にインパクトを与えるシステム・アプローチ(ターゲティング・エージェント、システム・マッピング、ストック・アンド・フローなど)を用いた戦略的イニシアチブの研究と立案
文献
私は、ビジネスの世界での長年の経験をバックグラウンドとする「教える」教授であり、アカデミア参入者としては日が浅い。スキル・ベースの指導、トレーニング、コーチング力を向上させるため最適な方法を模索してきた一方で、本格的な研究キャリアを開始したところである。出版・発表については近い将来に向けて準備中である。
その他
- ・ファカルティ・ディベロプメント・プログラム運営委員会委員(駒場キャンパス)
- ・英語ディスカッションクラブ 顧問進行役
- ・国際大学起業家クラブ ハルト賞審査員
- ・全国税関外国語弁論大会(英語の部)審査委員長
将来計画
大学の「国際化」、毎年300社のベンチャー企業の立ち上げ、よりインクルーシブな風土を作る等、志の高い組織的目標に取り組む全学的なイニシアチブにおいて、東京大学の有益なパートナーとなれるようSCILを発展させる。
サイエンス・コミュニケーション・スキル指標(KPI*)の確立
コア・コンセプト、ツール、ピア・コーチングにより習得した技術などの導入のための連続型ワークショップを開催し、多様な層に向けて複雑な問題に関する見解を伝える能力を確実に向上させる。
*KPI:キー・パフォーマンス・インディケータ、重要業績評価指標
研究フローの向上
高等教育における研究フローのトレンドを追跡し、より効果的かつ学融合的なフローを見極めることができるような研究者間の対話を創出させる。大学院レベルの研究フローおよび関連のある研究スキル開発を学融合的なものへと向上させる。
先行研究実践の再考
共同研究者や研究グループがよりインパクトのある学融合的研究をよりよく行えるよう、コラボレーション・ツールの探究と評価を行い、先進的AIソリューションとの技術統合を開拓する。
アクション・リサーチと参加型リサーチ
・アクション・リサーチと参加型リサーチの両方を行い、学融合研究コミュニティにその洞察を共
有する。
・対話創出を目指す学長の戦略にあるような、大学のビジョンに沿う「学生主導型の戦略的取
り組み」を共同で考案し、実行する。
発表およびアウトリーチ
研究をより身近なものにし、より多くの情報に基づいた見解の発展を必要とする課題に一般社会の声を取り入れ、研究者が、研究に一般市民を加えるためのプラットフォームを構築する。SCILは、このプラットフォームをラボの研究活動の進捗と洞察を学融合研究コミュニティと共有するための場とする。
教員からのメッセージ
科学者としての自信をつけるためのサイエンス・コミュニケーション・スキルの向上のため、是非、クリティカル・シンキング・コースの受講を
東京大学新領域創成科学研究科で研究に従事する皆さんは、各々の学問領域において先進的知識を獲得し、最高レベルの専門家の元でクリティカル・シンキングの腕を研鑽し、それぞれの専門分野を深く掘り下げてきました。皆さんの最優先課題は専門分野の複雑性を理解することであると同時に、高等教育を受ける中で、学問領域を超える非常に重要なスキルを身に着けていくことになります。的確な課題設定や説得力ある仮説立て、革新的研究方法の創出、研究結果の解釈や議論を裏付ける証拠立てなど、個々の学問領域内で磨いたスキルは、現代社会の喫緊の課題解決を研究するコミュニティにおいて非常に必要とされています。
まさに、このような研究を行っていく中で、みなさんは既存の枠組みに挑戦し、多様な問題に対する革新的解決策を生み出す立場に置かれます。
声の届けられないコミュニティやより大きな社会的課題にみなさんの専門性を適用することで、他にはない観点で、より包括的で配慮ある方法を提唱することができますが、それには効果的なコミュニケーションが鍵となります。
熟練研究者として論拠ある考察を明確に表現し、周辺化された声を増幅させる能力こそが、意義ある変化をもたらすためには最も重要です。協調を促し建設的な対話をすることが、自分たちの影響力を強化し、複雑な社会問題に挑戦する集合的な能力を高めるのです。