永田 晋治
(ながた しんじ/教授/生命科学研究系)
先端生命科学専攻/分子認識化学分野/昆虫の栄養分依存的な本能的摂食行動の解明
略歴
1993年3月 東京大学農学部農芸化学科卒業
1998年3月 東京大学大学院農学系研究科応用生命化学博士課程修了(博士(農学))
1997年4月 日本学術振興会特別研究員
1999年4月 アメリカ合衆国ネバダ州立大学博士研究員
2000年3月 東京大学大学院新領域創成科学研究科リサーチ・アソシエイト
2002年5月 東京大学大学院農学生命科学系研究科応用生命化学専攻助教を経て2012年12月より現職
教育活動
大学院:天然物生理化学(隔年、農学生命科学研究科)、天然物構造決定法(隔年、農学生命科学研究科)、応用生命化学・工学学生実験(農学部)
研究活動
昆虫の摂食行動を調節する内分泌系の解明。特に、栄養分や環境の変化に応答する脳神経系のホルモンネットワークの変動について明らかにしようとしている。最終的には、栄養分依存的な摂食行動について分子レベルで記述できるようにしたい。化学生態学、生物有機化学をベースとして、身の周りの昆虫や植物などに着目しながら研究を進めている。
文献
1.Morooka N, Nagata S, Shirai K, Kiguchi K, Nagasawa H. Identification and characterization of a feeding-modulating peptide, hemolymph major anionic peptide (HemaP) from the sweetpotato hornworm, Agrius convolvuli. 2012. FEBS Journal. 279(1):168-79.
2.Nagata S, Matsumoto S, Nakane T, Ohara A, Morooka N, Konuma T, Nagai C, Nagasawa H. Starvation reduces short neuropeptide F-1, -2 and -3 levels in the brain of the silkworm, Bombyx mori. Frontiers in Experimental Endocrinology. 2012. 3:e3.
3.Konuma T, Morooka N, Nagasawa H, Nagata S. Knockdown of the adipokinetic hormone receptor increases feeding frequency in the two-spotted cricket Gryllus bimaculatus. Endocrinology. 2012. 153(7):3111-22.
4.Nagata S, Matsumoto S, Mizoguchi A, Nagasawa H. Identification of cDNAs encoding allatotropin and allatotropin-like peptides from the silkworm, Bombyx mori. Peptides. 2012 Mar;34(1):98-105.
5.Nagata S, Morooka N, Asaoka K, Nagasawa H. Identification of a novel hemolymph peptide that modulates silkworm feeding motivation. 2011. J Biol Chem. 286. 7161-7170.
6.Nagata S, Nagasawa H. Sterol composition in larvae of the silkworm, Bombyx mori larvae. 2011. Biosci Biotechnol Biochem. 75(5):1003-1005.
7.Nagata S, Morooka N, Matsumoto S, Kawai T, Nagasawa H. Effects of neuropeptides on feeding initiation in larvae of the silkworm, Bombyx mori. 2011. Gen. Comp. Endocrinol. 172. 90-95.8.Nagai C, Nagata S, Nagasawa H. Effects of crustacean hyperglycemic hormone (CHH) on the transcript expression of carbohydrate metabolism-related enzyme genes in the kuruma prawn, Marsupenaeus japonicus. Gen. Comp. Endocrinol. 172(2):293-304.
その他
日本農芸化学会関東支部幹事(2011~2013)
日本比較内分泌学会将来構想委員会(2012~現在)ほか
将来計画
身近な動植物に着目し、先ずは化学的な視点から切り込み、生態学、生理学、行動学、数理学など様々な分野での手法を積極的に取り入れ、興味深い生理現象を分子レベルで解明したい。特に、本能的な栄養摂食行動のメカニズムの解明を推進していきたい。
教員からのメッセージ
私の研究内容から実際に何の役に立つのか?ということを良く聞かれる。数年前までは、「役に立つか分からないことをやっている」とは胸を張って言えなかった。自らの虚栄心と自信のなさからだろうか。ところが、今は少々違う。私たちがやっている研究が非常に面白いことであると自信が持てるようになってきた。そして、役に立つかどうかは良く分からないが、「生命のしくみ」の謎解きが、全てのライフサイエンスをやっている人たちの大きな課題であると、信じている。