教員紹介

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黄川田 隆洋

(きかわだ たかひろ/客員准教授/生命科学研究系)

先端生命科学専攻/応用生物資源分野/極限環境耐性生物ネムリユスリカの分子生物学

略歴

1992年3月岩手大学農学部農芸化学科卒業
1994年3月岩手大学大学院農学研究科修士課程修了
1994年4月農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所研究員
2001年4月独立行政法人農業生物資源研究所研究員
2005年4月独立行政法人農業生物資源研究所主任研究員
2009年4月博士(工学)(東京工業大学)
2015年4月国立研究開発法人農業生物資源研究所主任研究員
2015年4月東京大学大学院先端生命科学研究科客員准教授(兼任)

教育活動

大学院:先端生命科学概論

研究活動

ネムリユスリカの極限乾燥耐性の分子機構の解明:
生物にとって水は必須であり、細胞から水分が完全に失われると、死に至る。しかし一部の生物は、完全に乾燥して代謝が停止しても死に至ることなく、再吸水すると代謝が復活する。この現象は乾燥無代謝休眠(anhydrobiosis)と呼ばれ、昆虫ではネムリユスリカの幼虫のみに認められる。この乾燥幼虫は、高温、超低温、有機溶媒、放射線などに耐性を発揮し、宇宙空間に2年半放置しても蘇生可能である。

これまでの主要な研究成果
1,ネムリユスリカのゲノム構造の解明(文献2)
2,乾燥耐性特異的なアクアポリンの機能の発見(文献3)
3,促進拡散型トレハローストランスポーターを世界で始めて同定(文献4)
4,LEAタンパク質が昆虫にも存在する事を発見(文献5)

文献

1) 黄川田隆洋 (2014) ネムリユスリカのふしぎな世界 ウェッジ出版.
2) Gusev O, Suetsugu Y, Cornette R, Kawashima T, Logacheva M.D, Kondrashov A.S, Penin A.A, Hatanaka R, Kikuta S, Shimura S, Kanamori H, Katayose Y, Matsumoto T, Shagimardanova E, Alexeev D, Govorun V, Wisecaver J, Mikheyev A, Koyanagi R, Fujie M, Nishiyama T, Shigenobu S, Shibata T.F, Golygina V, Hasebe M, Okuda T, Satoh N, Kikawada T (2014) Comparative genome sequencing reveals genomic signature of extreme desiccation tolerance in the anhydrobiotic midge. Nature Communications 5:4784.
3) Kikawada T, Saito A, Kanamori Y, Fujita M, Śnigórska K, Watanabe M, Okuda T (2008) Dehydration-inducible changes in expression of two aquaporins in the sleeping chironomid, Polypedilum vanderplanki. Biochimica et Biophysica Acta - Biomembranes 1778(2):514-520 
4) Kikawada T, Saito A., Kanamori Y., Nakahara Y., Iwata K., Tanaka D., Watanabe M. and Okuda T. (2007) Trehalose transporter 1, a facilitated and high-capacity trehalose transporter, allows exogenous trehalose uptake into cells., Proc Natl Acad Sci U S A 104:11585-11590
5) Kikawada T, Nakahara Y, Kanamori Y, Iwata K, Watanabe M, McGee B, Tunnacliffe A, Okuda T (2006) Dehydration-induced expression of LEA proteins in an anhydrobiotic chironomid. Biochem Biophys Res Comm 348, 56-61
その他

その他

低温生物工学会、極限環境生物学会、トランスポーター研究会、日本分子生物学会
国際シンポジウムNew Frontiers in Anhydrobiosis, A member of Scientific committee (2014),低温生物工学会編集委員(2010~), 低温生物工学会理事(2012~), トランスポーター研究会幹事(2006~), 極限環境生物学会シンポジウム委員(2010~2013), 極限環境生物学会学術幹事(2015~)

将来計画

我々は、オーミクス解析を基盤とする分子・細胞生物学的解析によって、ネムリユスリカの乾燥無代謝休眠の分子メカニズムの解明を目指しています。

教員からのメッセージ

今までやったことがある。今まで失敗したことがある。そんなことは構わない。もう一度やれ。もう一度失敗せよ。より上手く失敗せよ。
- Samuel Beckett

ホームページのURL

http://www.nias.affrc.go.jp/anhydrobiosis/