井原 智彦
(いはら ともひこ/准教授/環境学研究系)
環境システム学専攻/地域環境システム講座/環境社会システム学分野
略歴
1998年3月 東京大学工学部地球システム工学科卒業
2004年3月 東京大学大学院工学系研究科地球システム工学専攻博士課程修了 博士(工学)
2004年4月 (独)産業技術総合研究所ライフサイクルアセスメント研究センター地域環境研究チーム 研究員(若手育成型任期付)
2007年4月 (独)産業技術総合研究所ライフサイクルアセスメント研究センター地域環境研究チーム 研究員
2008年4月 (独)産業技術総合研究所安全科学研究部門社会とLCA研究グループ 研究員
2010年4月~2014年3月 東京理科大学理工学部経営工学科 非常勤講師 *兼務
2012年4月~2013年9月 総務省統計研修所 客員研究官 *併任
2012年6月 東京大学大学院新領域創成科学研究科環境システム学専攻 准教授
2012年6月~ (独)産業技術総合研究所安全科学研究部門社会とLCA研究グループ 客員研究員 *併任
2012年10月~ (独)科学技術振興機構低炭素社会戦略センター 特任研究員 *併任
教育活動
教養学部(前期課程):
「知能社会システムと人工物デザイン」(冬学期)
工学部システム創成学科知能社会システムコース:
「数理演習I」(2年冬学期)
「基礎プロジェクト」(3年夏学期)
「環境システム論」(3年冬学期)
新領域創成科学研究科環境システム学専攻:
「環境システム学概論」(夏学期)
「ライフサイクル影響評価論」(冬学期)
「環境システム学II」(冬学期)
「環境システム学輪講」(冬学期)
研究活動
ライフサイクル的思考に基づいて社会の環境問題を分析するとともに、地域・個人レベルでの具体的な対策を立案し、社会全体への有用性を評価する研究を実施しています。これまで実施してきた研究テーマの例を以下に示します。
1) 都市気候とエネルギー需要の関係を統計的に解析するとともに、建築エネルギーモデルを用いて、各種の省エネルギー技術が社会全体にもたらす節電量・CO2排出削減量を評価する研究[1-2]。
2) 都市気候と人間健康との関係を、疫学調査や公的健康統計を用いて広く解析する(疫学的アプローチ)とともに、センサーを用いた人体計測を通じて具体的な物理生理過程を解明する(生気象学的アプローチ)研究[3-6]。
3) 消費者の日常生活に伴う環境負荷が社会全体に占める影響を評価するとともに、具体的な環境調和型行動の社会全体への環境改善量を見積もる研究[7-8]。
文献
[1] Ihara T, Genchi Y, Sato T, Yamaguchi K, Endo Y. City-block-scale sensitivity of electricity consumption to air temperature and air humidity in business districts of Tokyo, Japan. Energy, Vol.33, No.11, pp.1634-1645, 2008.
[2] Ihara T, Kikegawa Y, Asahi K, Genchi Y, Kondo H. Changes in year-round air temperature and annual energy consumption in office building areas by urban heat island countermeasures and energy-saving measures. Applied Energy, Vol.85, No.1, pp.12-25, 2008.
[3] 井原智彦, 日下博幸, 原政之, 松橋隆治, 吉田好邦. 問題比較型影響評価手法を用いた都市気温上昇に伴う軽度の健康影響の推定. 日本建築学会環境系論文集, Vol.76, No.662, pp.459-467, 2011.
[4] Ihara T, Kusaka H, Takata T, Hara M, Genchi Y. Impact assessment of human health and energy consumption caused by urban climate change. The 91st American Meteorological Society Annual Meeting, 2011.
[5] 井原智彦, 玄地裕. 被害算定型ライフサイクル影響評価手法によるヒートアイランド現象の環境影響評価. 日本建築学会環境系論文集, Vol.73, No.634, pp.1407-1415, 2008.
[6] 岡野泰久, 井原智彦, 玄地裕. インターネット調査を用いた夜間のヒートアイランド現象による睡眠障害の影響評価. 日本ヒートアイランド学会論文集, Vol.3, pp.22-33, 2008.
[7] Ihara T, Motose R, Kudoh Y. CO2 emissions from consumers' daily lives from the viewpoint of time use. The 9th International Conference on EcoBalance (EcoBalance 2010), 2010.
[8] Ihara T, Motose R, Kurishima H, Kudoh Y. Analysis of CO2 emissions from daily life and consideration on the low carbon daily activities in Japan. The 4th International Conference on Life Cycle Management (LCM 2009), 2009.
その他
所属学会: 日本LCA学会(2008- 研究発表会実行委員会委員、2011-2013 同副委員長)、日本ヒートアイランド学会(2011- 企画・全国大会運営委員会委員、2013- 学会誌委員会委員)、日本建築学会、エネルギー・資源学会、空気調和・衛生工学会、環境情報科学センター、日本生気象学会、日本睡眠学会、日本疲労学会、International Association for Urban Climate
将来計画
社会における環境問題が現実に解決されるように、社会において何が問題となっているかを見きわめた上で、その問題に対して有効となる、地域・個人レベルでの具体的な方策を、研究を通じて立案していきたいと考えています。
教員からのメッセージ
学生時代は長いようで短いです。高校までの期間あるいは社会人からの期間と異なって誰にも管理されない貴重な時間を有意義に過ごして下さい。ライフサイクル的思考に興味を持ち、かつ意欲的に自ら目標を立てて研究を進めていける若い諸君をお待ちしております。