教員紹介

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小平 翼

(こだいら つばさ/講師/環境系)

海洋技術環境学専攻/海洋環境創成学講座/海洋IoT、海洋表層流、北極海の変動

略歴

【学歴】
2009年3月24日 東京大学工学部システム創成学科 環境エネルギーシステムコース 卒業
2011年3月22日 東京大学大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学専攻修士課程 修了
2014年3月24日 東京大学大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学専攻博士課程 修了 (博士、環境学)
【職歴】
2011年4月1日-2014年3月31日 日本学術振興会特別研究員(DC1)
2014年4月1日-2014年4月30日 東京大学新領域創成科学研究科 特任研究員
2014年5月1日-2016年10月31日 Postdoctoral Research Fellow, Dalhousie University, Canada
2016年11月1日- 2021年8月30日 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 助教
2021年 9月1日- 現在     東京大学 大学院新領域創成科学研究科 講師

教育活動

大学院 海洋技術環境学専攻:海洋データサイエンス、気象海象学基礎、海洋技術環境学プロジェクトI, II
学部  力学演習IA/2A、基礎プロジェクト、応用プロジェクト、領域プロジェクト

研究活動

1) 海洋IoTセンサの開発
2020年度より海洋IoTセンサの開発に注力しています。具体的に言えば、安価で小型で高機能な海洋観測ブイの開発です。この研究の最終目的は各種センサ、そしてマイコンの小型化・低コスト化・参入障壁の低下といった社会的な潮流を活用して、海洋のビッグデータを作り出すことです。将来的には、それぞれが自律し、分散し、協調して価値ある海洋情報を作り出せるようなシステムを構築できればと考えています。平塚海洋観測塔などでの試験を繰り返しながら、北極海や南極へのセンサの展開をおこなっています。
2) 海洋表層流
海洋表層には多種多様な流れが存在する。流れの成因は主に風と潮汐によるものであるが、地衡流、渦、内部波、湧昇等さまざまな形態を取り、波浪による流れも存在する。海洋表層における海水の変動に対して、これらの流れは大きく影響し、また、表層に浮いた物体の漂流に対しては、風と波浪による効果も考慮する必要がある。海の流れそのものに感心を寄せながら、海難事故による原油流出や震災時における瓦礫流出・放射性物質等の海洋汚染といった状況下での流動場把握の必要性を念頭に、海洋表層流に関する研究をおこなっている。
3) 北極海の変動
北極域は地球上で最も急激に温暖化が進行する地域であるが、その詳細なメカニズムは依然未解明のままである。北極域で温暖化が増幅される主な原因として雪氷アルベドフィードバックが挙げられるが、低緯度からの大気・海洋を通じた熱流入の重要性も指摘されている。海洋を通じた熱輸送については、太平洋からと大西洋からの2つの経路が存在し、太平洋水は総流量、総熱量ともに大西洋水に比べて小さいが、北極海のより表層付近に流入するため、付随する熱による海氷の融解が懸念されている。これまで、2018年11月の高温な太平洋側北極海と海氷の結氷遅延に着目し結氷遅延メカニズムの一端の解明などの成果を挙げている
(https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/3777.html)。

文献

1. Kodaira, T., T. Waseda, T. Nakagawa, O. Isoguchi, and Y. Miyazawa (2013) : Measuring the Kuroshio Current Around Miyake Island, a Potential Site for Ocean-Current Power Generation. International Journal of Offshore and Polar Engineering, 23(4), 272-278.
2. Kodaira, T., T. Waseda, and Y. Miyazawa, 2014: Nonlinear internal waves generated and trapped upstream of islands in the Kuroshio, Geophysical Research Letters, 41, 5091–5098.
3. 清松啓司、小平翼、門元之郎、早稲田卓爾、高木健 (2014):三宅島近海流況観測とそれに基づく海流エネルギー資源量推定、日本船舶海洋工学会論文集Vol.20、pp147-156.
4. Kodaira, T., Waseda, T., Miyata, M., and Choi, W. (2016). Internal solitary waves in a two-fluid system with a free surface. Journal of Fluid Mechanics, 804, 201-223.
5. Kodaira, T., Thompson, K., and Bernier, N. (2016). Prediction of M2 tidal surface currents by a global baroclinic ocean model and evaluation using observed drifter trajectories, Journal of Geophysical Research: Oceans, 121(8), 6159-6183.
6. Kodaira, T., Thompson, K., and Bernier, N. (2016). The effect of density stratification on the prediction of global storm surges, Ocean Dynamics, 66(12), 1733 – 1743.
7. Chang Y., Y. Miyazawa, L. Oey, T. Kodaira, and S. Huang (2017), The formation processes of phytoplankton growth and decline in mesoscale eddies in the western North Pacific Ocean, Journal of Geophysical Research: Oceans 122(5) 4444-4455.
8. 小平 翼, 和田 良太, 早稲田 卓爾(2017)日本沿岸潮流発電の資源量推定に対する潮流の長期変動の影響, 日本船舶海洋工学会論文集Vol.25、pp151-156.
9. Chang Y., Y. Miyazawa, T. Kodaira, S. Behera (2018), Philippines–Taiwan Oscillations and its connection to tropical cyclone frequency in the western North Pacific Ocean, Scientific Reports 8(1).
10. 小平 翼, 和田 良太, 和田 大門, 渡邊 省吾, 北 祐樹, 早稲田 卓爾 (2019) 低コスト沿岸域海上風観測システムの構築と実証, 日本船舶海洋工学会論文集Vol.29、pp163-169.
11. Kodaira, T. and Waseda, T (2019). Tidally generated island wakes and surface water cooling over Izu Ridge, Ocean Dynamics, 69(11-12), 1373-1385.
12. Nose T., T. Waseda, T. Kodaira, and J. Inoue, (2020). Satellite retrieved sea ice concentration uncertainty and its effect on modelling wave evolution in marginal ice zones. The Cryosphere, 14, 2029-2052.
13. Kodaira, T., T. Waseda, T. Nose, K. Sato, J. Inoue, J. Voermans, and A. Babanin, (2020). Observation of on-ice wind waves under grease ice in the western Arctic Ocean, Polar Science, 100567.
14. Nose, T., Waseda, T., Kodaira, T., and Inoue, J. (2020), On the coagulated pancake ice formation: observation in the refreezing Chukchi Sea and comparison to the Antarctic consolidated pancake ice, Polar Science.
15. Kodaira, T., T. Waseda, T. Nose, and J. Inoue, (2020). Record high Pacific Arctic seawater temperatures and delayed sea-ice advance in response to episodic atmospheric blocking, Scientific Reports, 20830 (2020).
16. Waseda, T., T. Nose, T. Kodaira, K. Sasmal, and A. Webb. (2020), Climatic trends of extreme wave events caused by Arctic Cyclones in the western Arctic Ocean, Polar Science, 100625.

将来計画

観測や数値モデルから海洋情報を創出することで、海洋の利用と保全に貢献したいと考えています。

教員からのメッセージ

一歩踏み出し、継続的に取り組み、自分に自信を持つ。大学院はそんな場所であって欲しいと考えています。

ホームページのURL

http://www.orca.k.u-tokyo.ac.jp/WasedaLab/