「アラブ首長国連邦(UAE)館:Wetland」が金獅子賞を受賞
佐藤淳研究室、小渕祐介研究室が制作協力
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新領域創成科学研究科の佐藤 淳研究室、工学系研究科の小渕 祐介研究室が制作に協力した「アラブ首長国連邦(UAE)館:Wetland」が、第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展において、最優秀賞にあたるGolden Lion(金獅子賞)を受賞しました。
Golden Lion for Best National Participation |
United Arab Emirates Wetland |
UAE代表:Wael Al Awar+寺本健一 協力: 東京大学小渕祐介研究室(工学系研究科 建築学専攻) 東京大学佐藤淳研究室(新領域創成科学研究科 社会文化環境学専攻) 東京大学建築構成材デザイン工学(AGC)寄付講座 |
画像提供:National Pavilion UAE
佐藤淳研究室、小渕祐介研究室からのコメント
「ヴェネチアビエンナーレ建築展」は歴史ある展覧会です。UAE(アラブ首長国連邦)の代表チームに選出された建築家の寺本健一氏とWael Al Awar氏からの要請で、東京大学から佐藤淳研究室と小渕祐介研究室が協力しました。UAEでは海水から真水を作るために塩が大量に排出されます。そこから「マグネシウム」を抽出してセメントを固める提案でした。
佐藤淳研究室は、地面に浅い溝を描きそれを型にしてセメントを固めて2500個もの「サンゴ型」ピースを素早く作り、建築の外形に力学的な「逐次最適化」を施しながら積み上げる「構造デザイン」を提案しました。
小渕祐介研究室は、その大量のピースを積み上げる際に、現場の作業者に実空間でピースの位置を誘導し追跡する「ナビゲーションシステム」を構築しました。リング状に層が形成される度に、追跡位置に従って構造解析モデルを更新して最適化を施し、以後に構築すべき外形を補正します。
こうして「技術」と「自然」、「人」と「機械」が融合した建築形態を創出することができました。
格式高いこの展覧会でこの作品が最優秀の Golden Lion(金獅子賞)を受賞できたことに携われたのは大変光栄です。
東京大学大学院新領域創成科学研究科 准教授 佐藤 淳(社会文化環境学)
東京大学大学院工学系研究科 准教授 小渕 祐介(建築学)
審査委員長 妹島和世 様からのメッセージ
今回のヴェネチア・ビエンナーレは、これまで以上に建築の枠を超えた新しい可能性を感じられる展示作品がたくさんありました。特に多くの最先端のテクノロジーを応用した作品には驚きました。また、ナショナル・インターナショナル、どちらのパビリオンにおいても、国境を超えてさまざまな国々から集まって構成され、そして企画された展示が多くみられ、UAEパビリオンも中東、日本、アメリカなど複数の国々からのメンバーで成り立っており、そこで東京大学の2つの研究室が技術協力を行なった事はとても嬉しく思いました。
日本においてもこれ迄以上に研究活動が海外に広がり活躍されることを期待しています。小渕先生と佐藤先生、素晴らしい作品、金獅子賞おめでとうございます。
第17回 ヴェネチア・ビエンナーレ 国際建築展 審査委員長
建築家 妹島和世
DataSheet
プロジェクト期間:2019年12月 - 2021年8月
担当業務:
小渕祐介研究室
- パビリオンのデジタルファブリケーションシステムデザイン
- コンクリート部材位置のスキャニングツール、システムの開発
- コンクリート部材施工のガイディングツール、システムの開発
- コンクリート部材配置のオンラインデータベースの構築
- 構造最適化計算のオンライン統合ネットワークシステムの構築
- webサイト開発(https://venice2021.t-ads.org/)開発:Alex Orsholits
佐藤淳研究室
- 構造設計
- コンクリート調合設計
- ピース形状スタディ、最適化
- モックアップ構造実験
- 構造最適化プログラム開発
両研究室協働
- 立体形状最適化、決定
- 平面計画、立面計画
- ドキュメント作成、記録