【展示報告】「羽衣構造2019紅掛空」
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2020年2月1日(土)?2月7日(金)まで、
柏キャンパス環境棟の前に“羽衣構造2019紅掛空”と題して
本研究科 環境デザイン統合教育プログラム「建築構造デザインスタジオ」で製作した構造作品を展示いたしました。
▲長さ5m×幅4m×高さ5mの巨大なオブジェが東京大学柏キャンパスに出現!
世界最軽量の極薄素材として知られるオーガンジー生地「「天女の羽衣」(天池合繊株式会社製)※を使用した巨大オブジェ。
「カーボンロッド」で突っ張ることで強度を安定させる「テンセグリティ」構造による架構で、華奢で繊細な見た目に反し、最大で風速20m/sにまで耐えうるように設計されているのが特徴。
「建築構造デザインスタジオ」は、災害時を想定した「壊れても死なない構造」を追求しており、本作品はワークショップの一環として制作された。
※天女の羽衣:天池合繊株式会社製造の世界最軽量の極薄素材。洋服地としての用途以外に、アート作品やインスタレーションなどにも幅広く使用されている。
▲制作過程の様子
作業時間は、スタディから完成まで約150時間。
最初は1/5スケールの全体模型を作成。コンピュータによる構造解析を重ね、弱い部分を最適化していくこととで力学的に強い構造になっていく。
その後、「型紙作成」→「布を裁断、縫製」→「組み立て」で完成。
ワークショップに参加した学生からは
「使うパーツが複雑で多いため、縫製を間違うと修正に時間がかかった。」
「風の強い日が続き、倒れたり、穴が開いたりと完成までに紆余曲折の繰り返しだった。」
という感想があった。
また、「縫製が上手くなった!」との声も(笑)
本ワークショップ主宰の佐藤淳准教授は、「一昨年は横に20mを達成したので、最終的には100mを達成したい。」とのこと。
ちなみに大気海洋研究所から生命棟近くまでの距離が約100mで、強風が吹き抜けるポイントが2箇所あり、そこが「最大の難所」と言う。
▲「天女の羽衣」(天池合繊株式会社製)軽くしなやかなオーガンジー素材で、最軽量の生地はなんと約5g/�Fという軽さ。
キラキラと光を反射しとても幻想的な表情を見せる。
▲カーボンロッドの先にはスーパーボールが取り付けてあり、これは天女の羽衣が傷むのを防ぐ。
▲スーパーボールと天女の羽衣を固定するためのファスナー(スチール針金)。手作業で1つずつ巻き巻き。
この後、この状態が自然界でいうとどのような様子に近いのか、スペクトル解析で探っていくと言う。
▲佐藤淳先生と学生たち
「カーボンロッド」を使った「テンセグリティ」構造は、従来の建築方法とは全く異なるコンセプトであり、ゆえに強度を保つための構造解析はかなり複雑。現在はコンピュータによる自動最適化と人間がもつ感覚や知恵のどちらも駆使することで実現しているが、将来的にはAIの進化などにより、大規模構造物にも対応していけると言う。
また佐藤淳准教授は、こうした作品制作について「理論や計算だけでは分からないことを学ぶ良い機会」と語り、これからも年に数回のワークショップを実施する予定。
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