【インタビュー】創成40号:ゴンジロウ塾プロジェクト ON CAMPUS×OFF CAMPUS
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房総半島の南端にある千葉県館山市塩見。社会文化環境学専攻の岡部研究室は、この集落にある茅葺きの古民家「ゴンジロウ」を拠点として地域のコミュニティづくりを考える「ゴンジロウ塾」プロジェクトを展開しています。このプロジェクトは、岡部明子教授が千葉大学に所属していた2011年から始まり、10年以上かけて多くの学生が関わり引き継がれてきたものです。
ゴンジロウは、この地域の典型的な作りである母屋と蔵、炊き場(台所・風呂)の3棟で構成されています。これまで、茅の葺き替え、土間や炊き場の再生などのリノベーションを行ってきました。また、学生たちが主体となり夏祭り、餅つきパーティなどのイベントを開催するなど、研究室のみならず、地域住民や外部の方なども巻き込みながら、コミュニティ作りを考え実践する拠点となっています。
2019年、房総半島を襲った台風により被った大きな被害をきっかけとして、岡部研究室の活動に興味を持った大工さんを中心としたNPO法人ゴンジロウが発足しました。NPO法人ゴンジロウの職員と有志の学生が協働して、被災した建物の改修や、地域住民との交流、地域課題の解決に取り組んでいます。
この記事は、2022年9月9日発行「創成」40号ON CAMPUS × OFF CAMPUSにて取り上げた「ゴンジロウ塾プロジェクト」をもとに再編集を行っています。
「創成」40号 2022年9月9日発行
ON CAMPUS×OFF CAMPUS「ゴンジロウ塾プロジェクト」
茅葺き民家「ゴンジロウ」にまつわる取り組み
■茅葺き屋根の葺き替え
茅葺き屋根の吹き替えに必要な「茅(かや)」
昔は茅を刈る場所を集落内で管理していましたが、吹き替え作業がほとんどなされていない今、集落の茅場は衰退しており、まず茅場探しから始めました。
毎年120〜150束程度を収穫しますが、屋根の全面を葺き替えるには1万束が必要と言われます。ゴンジロウにはその保管場所がないため、1年に1面づづ吹き替えを行っています。
■母屋、炊き場の改修
現在キッチンとして使用している建物は、プロジェクトスタート当初は建物かどうかすらわからないほどの廃屋と化していたそう。
名付けて「廃屋キッチン」
キッチンの入り口は主屋側ではなく道側に向いていて、個人の住宅というよりは、村のキッチンのような構えです。
■ゴンジロウのイベント
現在は新型コロナ対策で休止中ですが、地元の方達との交流も盛んに行ってきました。
かや茶会
「かや茶会」というお茶会を定期的に行っています。地元の方をお招きしてお茶を振る舞います。
茶室も学生たちがゴンジロウを改修して準備したものです。
かや談議
このプロジェクトがスタートした当初、茅葺きのゴンジロウをどうするか、という話し合いからスタートした「かや談議」。地域の様々な課題について住民のみなさんと一緒に協議しています。
ゴンジロウの夏祭り
ゴンジロウの夏祭り。当日は学生を始め、地元の方々もたくさんの参加があります。流しそうめんなども行っていて、竹を切り出すところから準備しています。
ゴンジロウでの取り組みは地元の人々に支えられていると実感する1日です。
ゴンジロウ周辺の取り組み
■安房塩見バス停の建て替え
2018年の強風により倒壊。地元の方々と話し合いを重ね、建築材やデザインの決定、行政審査などを経て施工しました。
資金はクラウドファンディングにて調達し、2020年12月に完成しました。
柱には塩見地区の木材を使用しています。
■小戸プロジェクト
茅葺きの母屋を中心とした屋敷群がある小戸地区。新領域が実施しているプログラムの一つ「建築環境デザインスタジオ」では、谷戸(入り組んだ谷状の地形)ならではの豊かな水源を利用して、高齢化が進み使われなくなった耕作地に分散的なキャンプ場を設計することで、集落全体をゆるやかに再構築していくことに挑みました。設計の中心となったのは人間の営みから切り離せない「トイレ」。
今後は、今回の設計をブラッシュアップし、実際に現地での取り組みに発展させていく予定です。
(写真提供:岡部研究室)
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