タイヤ内給電技術の共同開発に成功【SDGsを実現するモビリティ技術のオープンイノベーション社会連携講座】
- ヘッドライン
- 記者発表
東京大学大学院新領域創成科学研究科
発表概要
東京大学大学院新領域創成科学研究科は、株式会社デンソー、日本精工株式会社、株式会社ブリヂストン、ローム株式会社と共に「SDGsを実現するモビリティ技術のオープンイノベーション」社会連携講座※1にて、走行中給電を支える技術として、今までにないタイヤ内に電力を給電し、さらに車体に給電する技術の共同開発を成功させました(図1)。
図1 タイヤ内給電システム(左:実験車両、右:タイヤ内給電部の拡大図)
※1「社会連携講座」とは、公共性の高い共通の課題について、共同して研究を実施しようとする民間等外部の機関(国立研究開発法人を除く)から受け入れる経費等を活用して、学部や研究科などの教育研究を行う機関に設置される講座をいう。
発表内容
研究成果
■走行中給電システム
モビリティを持続可能にするためにモビリティの電動化が進められています。電動化に伴う、航続距離、バッテリー大量使用による車体の高価格化、バッテリー製造による温室効果ガス排出、充電による系統負荷等のモビリティの課題を解決するために、モビリティの走行中に給電をする走行中給電システムの研究をしています。
図2 走行中給電システムの例
■タイヤ内給電システム
走行中給電システムは磁界を使用して電力伝送を行うため、送電コイルと受電コイルのコイル間ギャップを短くすることが重要です。そこで、自動車で唯一地面に設置するタイヤの中にコイルを配置するタイヤ内給電システムを検討しました。タイヤ内給電には中継コイルという磁界を中継するコイルを使用しています。タイヤ内とホイール内に配置した中継コイルに給電し、さらに中継コイルからハブに取り付けられた受電コイルに非接触で電力を送ります。タイヤ内の中継コイルと、ホイールの内の中継コイルは電線でつなげてあるため、金属製のホイールでも電力が送れます。さらに送電コイルと受電コイルの距離を近くできることから、電力伝送の効率も高められるだけでなく、従来の方法よりも大きな電力を送ることが可能です。
図3 タイヤ給電の原理(左:正面図、中央:断面図、右:拡大図)
図4 タイヤ給電システム
(左:タイヤ未装着状態、中:タイヤ装着状態、右:車両搭載状態)
今後の展望
本講座ではタイヤ給電のみならず、引き続きSDGsを実現する多様なモビリティ技術の先進的な研究開発を続けてまいります。今後は特に電気自動車のドライブシステムの研究に注力する予定です。
本研究の成果は2023年2月3日に行われる自動車技術会電気動力技術部門委員会が主催するシンポジウムで併催する展示会にてスケールモデルを展示予定です。当日は当該担当教員、開発担当者が説明員として出席いたします。シンポジウムは事前予約制ですが、展示会はどなたでも自由にご覧いただけます。
自動車技術会電気動力技術部門委員会シンポジウム
https://www.jsae.or.jp/sympo/2022/no8.php
関連研究室
お問い合わせ