「未来戦略LCA連携研究機構」2023年4月1日発足 ―LCA研究者を結集、先端科学技術研究者とともに未来社会をデザイン―
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東京大学
2023年4月、東京大学は、LCA研究者を結集し、先端科学技術研究者とともに10部局を横断する「未来戦略ライフサイクルアセスメント連携研究機構(以下、未来戦略LCA連携研究機構/UTokyo LCA Center for Future Strategy, UTLCA)を設立します。
本機構では、2050年に向かう世界的な技術開発と制度形成の機先を制するべく、未来戦略の立案に資する「先制的LCA」の学理を創成します。既存の学問分野の枠組みを超えた全領域にまたがる研究者の連携によって、世界最先端の研究、教育、さらには未来に向けた科学技術戦略を提言します。機構内には、参画企業14社の先制的LCA社会連携研究部門も設け、産業界に有用な先制的LCA手法として開発し、その社会実装を目指します。
LCA(Life Cycle Assessment、ライフサイクルアセスメント)とは、製品やサービスについて、その原料調達から製造・輸送・販売・使用・廃棄・再利用に至るライフサイクル全体の環境・社会・経済への影響を定量評価することです。東京大学が2021年9月に発表した基本方針「UTokyo Compass 多様性の海へ:対話が創造する未来」に示した地球規模の課題解決に向けて、未来の持続可能な社会を戦略的に構築するための先制的LCAに発展させることに取組む「未来戦略LCA連携研究機構(UTokyo LCA Center for Future Strategy, UTLCA)」を設立します。
先制的LCAが目指す2050年のイメージは、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出ネット・ゼロ)とサーキュラーエコノミー(循環型経済)です。将来の社会においては再生可能エネルギー比率や製品生産に使われる資源における使用済製品の比率等も変化するため、このような社会のトランジションを踏まえたLCAが必要です。例えば、新しい開発技術が普及した場合の将来の再生可能エネルギー比率や将来の二次資源供給可能量の将来シナリオを描きます。
未来戦略LCA連携研究機構には、先制的LCAの学理を確立、牽引、発信すべく、10部局を横断する社会や経済への影響を含むLCA関連評価研究者とエネルギーや材料などの先端科学技術研究者40名以上が参画しています。また、国内外の研究者、研究機関、企業、行政等とも連携を進めるほか、14社が参画する先制的LCA社会連携研究部門も設け、成果の社会実装を目指します。東京大学はこの新たな組織により、先端科学技術とLCAの専門知を併せ持つ人材を育成しつつ、インパクトのある情報発信を行い、LCAの国際拠点を形成していきます。
未来戦略LCA連携研究機構 連携部局
・ 先端科学技術研究センター(主管部局)
・ 大学院工学系研究科
・ 大学院農学生命科学研究科
・ 大学院経済学研究科
・ 大学院総合文化研究科
・ 大学院新領域創成科学研究科
・ 大学院公共政策学連携研究部
・ 生産技術研究所
・ 未来ビジョン研究センター
・ 環境安全研究センター
先制的LCA社会連携部門の参画企業14社(五十音順)
・ 旭化成株式会社
・ 会宝産業株式会社
・ 株式会社神戸製鋼所
・ 住友化学株式会社
・ 積水化学工業株式会社
・ 株式会社テクノバ
・ 株式会社デンソー
・ 凸版印刷株式会社
・ 日本製鉄株式会社
・ マツダ株式会社
・ 三菱ケミカル株式会社
・ 株式会社IHI
・ JFEスチール株式会社
・ 株式会社UACJ
先制的LCAが目指す2050年のイメージ
◇カーボンニュートラル(温室効果ガス排出ネット・ゼロ)
◇サーキュラーエコノミー(循環型経済)
未来戦略を「今」つくるには?
◇産業分野を超えた議論:革新技術の研究・開発はカーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの達成に不可欠です。しかし、技術の効果を評価するには、それが社会実装されるタイミングの産業構造・社会構造に合わせた評価が必要です。革新技術の「標準的な」評価手法を確立します。
◇社会システムの統合的なデザイン:持続可能な社会を実現するためには、国際社会の動きも捉えながら、社会システムとしての消費と生産パターンの変革の統合的なデザインが必要です。特に、消費と生産の連携の強化が重要になります。
未来戦略LCA連携研究機構HP
https://utlca.u-tokyo.ac.jp/