次世代エレクトロニクスへの展開に期待!特殊な磁石の磁区パターンを光で可視化
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大阪公立大学
東京大学
発表概要
反強磁性体、中でも擬一次元量子反強磁性体は、次世代エレクトロニクスへの応用が期待されるため、さまざまな研究が行われています。しかし、反強磁性体の磁区観察において擬一次元量子反強磁性体は磁気転移温度が低く、かつスピンの秩序化成分が小さいことから従来の手法での観察は難しいと予想され、これまで報告されていませんでした。
大阪公立大学大学院工学研究科の木村 健太准教授(東京大学物性研究所客員准教授を兼任)、東京大学大学院新領域創成科学研究科の諸見里 真人大学院生、三宅 岳志大学院生(研究当時、東京大学物性研究所)、東京大学物性研究所の益田 隆嗣教授、東京大学大学院工学系研究科の木村 剛教授らの研究グループは、擬一次元量子反強磁性体BaCu2Si2O7の方向二色性が現れる光の入射方向や波長などの条件を調べ、それに基づいて光学顕微鏡で観察したところ、明と暗の領域がそれぞれ異なる磁区に対応していることが分かりました。また、一定の外部磁場を与えた状態で電場を与えると、磁壁が移動することが判明しました。今回の観察手法をさまざまな擬一次元量子反強磁性体に適用することで、新たな知見が得られると期待されます。
本研究成果は、国際学術誌「Physical Review Letters」に2024年8月22日(米国東部夏時間)にオンライン掲載されました。
図1 方向二色性による反強磁性磁区の可視化の概念図
磁壁で隔てられた磁区Iと磁区IIは異なる光透過率をもつため、明暗のコントラストとして可視化できる。
詳しくは、物性研究所ウェブサイトをご覧ください。
https://www.issp.u-tokyo.ac.jp/maincontents/news2.html?pid=24009