東京大学大学院新領域創成科学研究科と小野測器
「電気自動車の振動計測制御に関する社会連携講座」 を新たに設置
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講座概要
国立大学法人東京大学大学院新領域創成科学研究科および株式会社小野測器は、「電気自動車の振動計測制御に関する社会連携講座(注)」を2022年10月1日から設置します。本講座では、「クリーンかつ快適な電気自動車社会の実現」を目指した取り組みとして、電気自動車の駆動モータの高応答性に着目した車両振動抑制制御および車両運動制御に関する研究開発を実施いたします。近年開発が盛んとなっているモータ、インバータ、減速機が一体となった「eAxle」(イーアクスル)における新たな振動抑制制御技術の研究開発の実施や、電気自動車の発展形である「空飛ぶクルマ」の振動抑制制御を含む運動制御に取り組む予定です。
(注)社会連携講座
公共性の高い共通の課題について、共同して研究を実施しようとする民間等外部の機関(国立研究開発法人を除く)から受け入れる経費等を活用して、学部や研究科などの教育研究を行う機関に設置される講座のこと。
本講座設置の経緯と狙い
東京大学大学院新領域創成科学研究科の藤本博志研究室では、インホイールモータ型電気自動車の研究開発を行っています。モータの高い応答性を用いて、内燃機関の自動車では実現不可能だった不快な振動の抑制や緻密な運動制御など、これまで大きな成果を上げてきました。
小野測器は長年にわたり培ってきたトルクや音、振動などの計測技術、自動車の台上試験装置などの制御技術を生かすべく、これまで藤本研究室と共同研究を実施してまいりました。昨今の自動車産業は「100年に1度の大変革期」を迎えており、小野測器は本講座へ参画することで、電気自動車の進化と共に、その先にある持続可能なモビリティ社会実現への貢献を目指します。
本講座の詳細
本講座は、東京大学大学院新領域創成科学研究科に設置され、藤本教授を含む2教員と複数の研究員・大学院生で実施致します。設置期間は2022年10月1日~2026年3月31日の3年6カ月間を予定しています。おもな研究テーマは以下のとおりです。
・電気自動車の駆動モータの高応答性に着目した車両振動抑制制御および車両運動制御に関する研究開発
・モータ、インバータ、減速機が一体となった「eAxle」における新たな振動抑制制御技術の研究開発
・モータ制御技術を応用した「空飛ぶクルマ」の振動抑制制御を含む運動制御の研究開発
■東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授 藤本博志 コメント
今後モビリティのEV化が進むうえで「音、振動の抑制」が重要なテーマとなるのは間違いありません。その技術開発は内燃機関の自動車の延長線上ではなく、モータの持つ高い応答性を活用した振動抑制制御技術が重要となります。また、モータの制御技術を応用し、産業用ドローンの研究にも活用することで、現在世界的に注目されている「空飛ぶクルマ(EV)」の基礎研究にも繋げたいと考えています。この産学連携の取り組みではeAxle、EV専用プラットフォーム(E-Platform)の研究の促進、電気自動車開発の後押しとなることを目指し、ひいては社会に貢献できるよう尽力したいと思います。
■小野測器 代表取締役社長 大越祐史 コメント
今回の社会連携講座においては、藤本教授のお力添えを頂き、当社の主要顧客である自動車業界の「100年に一度の変革期」でキーとなる電気自動車について、重要な技術課題(音、振動計測制御)の解決につながる提言を得ることを期待しています。これに当社社員も参加することで先進性のある技術課題に「挑戦」し、通常業務では得られない新しい知見を獲得し新商品の芽を得ることで、「変わる」を実現する第一歩になると考えています。
これはまさしく現在最重要課題に据えている中期経営計画StageⅢにおける「挑戦」に関する取り組みの一つと捉えることができ、その実行により社員の意識も「変わる」につながると考えています。そして、これを先駆けとして社員が活躍、学ぶためのフィールドを広げていけば、新しい可能性がどんどん広がり、「変わる」が次々と実現していくと期待しております。