研究成果

次世代帆船「ウィンドチャレンジャー計画」の進展

投稿日:2012/03/07
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発表日時

2012年3月7日(水) 14:00~15:00

発表場所

東京大学山上会館会議室(地階会議室001)

発表者

大内一之 特任教授(東京大学大学院工学系研究科 システム創成学専攻)
鵜沢潔 特任准教授 (東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻)
早稲田卓爾 准教授(東京大学大学院新領域創成科学研究科 海洋技術環境学専攻)

発表概要

風力エネルギーを最大限に活用した次世代型超省エネ帆船の産学共同開発プロジェクト「ウィンドチャレンジャー計画」において、フィジビリティ研究の結果、大幅な燃料削減の可能性と技術的成立性を確認した。次の段階として実用化を目指した新形式硬翼帆のプロトタイプの製作と実証試験を行う。

発表内容

 東京大学では2009年10月に、これまでの常識を超えた巨大な硬翼帆を開発し風力エネルギーを最大限に取り込むことによって、現在、全て石油燃料に頼っている大型商船の燃料消費を抜本的かつ大幅に低減させ、船舶からのCO2排出削減と将来の燃料費の高騰に対処するための次世代帆船の開発を企図して、産学共同研究「ウィンドチャレンジャー計画」を発足させた。
 2年間のフィジビリティ研究の結果、伸縮可能な巨大硬翼帆と、これらを9枚搭載した大型貨物船(ケープサイズバルカー)での技術的・経済的・法規的な成立性が確認された。船の性能としては、風速約12m/sの横風を受けた場合にはエンジンを使わなくてもほぼ所定の航海速力を得ることができること、また、無風状態や帆の使えない向い風状態も含めた実海域航海シミュレーション(横浜/シアトル航路等)を行った結果、帆とエンジンのハイブリッド航海で年間平均30%程度の燃料消費低減が可能であることなどがわかった。
 この結果を受けて、2011年10月より新たな研究段階に入り、プロトタイプとしての大型硬翼帆(1/2縮尺モデル:高さ25m、幅10m)の製作とその陸上屋外実証実験を行い、実船搭載に向けてのデモンストレーション及び最終的な設計資料・データを入手して実用化につなげる研究を開始した。研究予算は3年間で約1.7億円を予定し、そのうちの約半分は日本海事協会の「業界要望に応えた研究スキーム」による資金、残りは下記その他の出資企業5社の自己資金で賄う。実証機の完成を2013年夏に予定し、設置後1年間の連続実証試験を行う予定である。また、併せて硬翼帆搭載大型商船の設計法・運航法の研究も行い、最終的には燃料消費量50%削減を目指したウィンドチャレンジャーによるビジネスモデルの開発を行う。
 本年4月18-20日に東京ビッグサイトで開催される国際海事展示会“SEA JAPAN”において、風洞試験に用いた長さ3mの模型船等を出展し、これまでの研究成果の展示を予定している。
 本研究開発への参加者は次の通りである(**代表、*副代表)。
研究主体:
 東京大学 大学院工学系研究科 **大内一之特任教授、*鵜沢潔特任准教授、
 同 大学院新領域創成科学研究科 早稲田卓爾准教授
 同 人工物工学研究センター 鈴木克幸教授
共同研究出資者:日本郵船⑭、⑭商船三井、川崎汽船⑭、⑭大島造船所、⑭タダノ、
一般財団法人日本海事協会
協力機関:⑭GHクラフト、(有)ACT、⑭ノースセール、(有)流体テクノ、北海道大学

問い合わせ先

東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 特任教授 大内一之
電話: 090-1607-2022
E-mail: ouchi@athena.ocn.ne.jp

 

添付資料