強相関物性学 有馬孝尚教授・徳永祐介准教授研究室
Arima Takahisa/Tokunaga Yusuke
研究内容の紹介
本研究室では、新奇な機能を示す固体材料の設計・開発とその物性の実験的研究を行っています。 ■磁場によって電気分極が変化する物質 ■磁場によって物質の形状が変化する物質 ■電場によって磁性が変化する物質 ■電場によって偏光特性が変化する物質 ■表と裏で光の吸収・屈折率が異なる物質などです。実は、これらはすべて、強相関固体の持つ時間反転対称性と空間に関する対称性の複合的な破れに関連しています。 研究手法としては、実験室で通常行う実験のほかに、世界一の性能を誇るSPring-8やJ-PARCにおいて量子ビーム(放射光・中性子)を使った実験を活発に行っています。
MnWO4の強誘電相のスピンの並び
放射光X線非弾性散乱法で測定したらせん磁性強誘電体のフォノン分散
CuB2O4単結晶について表から光を入れた場合と裏から光を入れた場合の透過像の違い
有馬教授からのメッセージ
人類の未来に貢献できる研究を。さまざまな夢が広がる新しい物質機能を実現しましょう。
中学生の頃、天気に関することが大好きで、毎日欠かさず、NHKラジオ第2で気象通報という番組を聞いていました。数年間、日本および東アジア各地の気圧と天気と気温を聞きとって、天気図を描き続けました。高校生の頃は、将来、気象庁に入ろうと思っていましたし、気象台に見学にも行きました。 大学に入ってからは物理工学の道に進みました。気象学が物理学の一分野であるということもあって、自然と物理学にも興味がわいたのです。物理工学の中で物性科学という今の研究分野に進んだ理由は、物質の設計、試料の作成、測定系の構築、物質機能の測定、測定データの解析といった一連の研究のすべてを自分で行うことができる楽しさを感じたからです。今行っている研究が進展すれば、エネルギー消費の少ない電子素子や、これまでにない光素子が、実現できる可能性があります。物質科学の大きな目標は、さまざまな夢の広がる新しい物質機能の開発にあります。物質系専攻で行われている最先端の物質科学研究を実体験することは、将来、必ず役に立つはずです。
キーワード
低温物性 / 磁性 / 強相関電子系 / マンガン酸化物 / X線 / コヒーレントイメージング / 磁気構造 / X線 / イメージング / 磁気相制御 / 磁気イメージング / 熱ホール効果 / 異常ネルンスト効果 / 異常ホール効果 / 中性子 / X線磁気散乱 / 共鳴X線散乱 / double perovskite / Raman scattering / synchrotron x-ray / neutron scattering / colossal magnetoresistance / crystal growth / manganite / 二重ペロブスカイト / ラマン散乱分光 / 放射光X線 / 中性子散乱 / 巨大磁気抵抗 / 単結晶育成 / 電気磁気光学 / 蜂の巣構造 / 蜂の巣格子 / メタホウ酸銅 / 光のローレンツ力 / 電気磁気効果 / 方向二色性 / 形状記憶 / セラミックス / 形状記憶効果 / 強相関系 / 強誘電体物性 / 磁気記録 / X線吸収端 / 軌道交替秩序 / 反強磁性 / 電荷整列 / X線磁気散乱 / 電荷移動型絶縁体 / パウリ磁化率 / 光学スペクトル / 高圧合成法 / モット転移 / ペロブスカイト型ニッケル酸化物
プロフィール
1986年 東京大学工学部物理工学科卒業
1988年 東京大学大学院工学系研究科物理工学修士課程修了
1988年 東レ株式会社
1990年 東京大学大学院理学系研究科物理学博士課程(中途退学)
1991年 東京大学理学部助手
1995年 東京大学大学院工学系研究科助手
1995年 筑波大学物質工学系助教授
2004年 東北大学多元物質科学研究所教授を経て2011年4月より現職
徳永准教授
プロフィール
2000年 東京大学工学部物理工学科 卒業
2005年 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 博士課程修了 博士(工学)
2005年 科学技術振興機構 ERATO十倉スピン超構造プロジェクト 研究員
2007年 科学技術振興機構 ERATO十倉マルチフェロイックスプロジェクト 研究員
2011年 理化学研究所 基幹研究所 基幹研究所研究員
2013年 理化学研究所 創発物性科学研究センター 上級研究員を経て2014年12月より現職
キーワード
電気磁気効果 / 交差相関物性 / マルチフェロイクス / 多極子強秩序 / キラリティ / 強弾性 / 物性実験 / 強相関電子系 / 磁気記録 / 低消費電力デバイス / 電場磁化制御 / マルチフェロイックス
佐藤 樹 さん
有馬先生、徳永先生とも明朗かつ聡明でとても尊敬できる方です。実験が行き詰ってしまったときには日々気さくに相談に乗っていただけるだけでなく、研究の方向性を広く長い視点から俯瞰したお話も聞けて大変ためになります。
研究室では、物質の電気・磁気・格子自由度を活用してなにか面白いことができないかと個々人が精力的に研究に取り組んでいます。学生間の風通しもよく、自由にのびのびとしっかり研究したい人には申し分ない環境だと思います。
物性研究所を擁する柏キャンパスは、研究に取り組むうえでこの上ない環境だと感じます。是非、様々な分野の研究室がある物質系専攻で、皆さんの面白いと思う視点から物質科学に取り組んでみるのはいかがでしょうか。
APPLIED PHYSICS
巨大応答を示す固体物質の開発と実験的研究
277-8561
千葉県柏市柏の葉5-1-5
東京大学大学院新領域創成科学研究科
物質系専攻
有馬孝尚教授・徳永祐介准教授研究室
04-7136-3805(有馬)
arima@k.u-tokyo.ac.jp
04-7136-3770(徳永)
y-tokunaga@k.u-tokyo.ac.jp
物質系専攻の目標
物質系専攻の目標は、未開拓な自由度を操ることができる舞台=“新物質”を開拓すること、その舞台から生み出される未知の現象を探索して優れた機能を引き出すこと、 また、その機構を解明すること、そして、それらの現象・機能の応用分野を開拓することで人類社会の発展に貢献することにあります。
物質系専攻
〒277-8561
千葉県柏市柏の葉5-1-5
東京大学柏キャンパス
新領域創成科学研究科
Mail:ams-office(at)ams.k.u-tokyo.ac.jp
(at) を @ にしてください。