機械学習・計算物性物理学 永井佑紀准教授研究室
Nagai Yuki
研究内容の紹介
機械学習と人工知能、最近ではAIの技術を使って新しい物理学を開拓していく。
進展の著しいAIを使って固体物理学を対象として研究を行っています。
物理学というのは、19世紀-20世紀は実験物理学と理論物理学という2つの物理学として発展してきました。
20世紀の後半に計算物理学というコンピューターを使った新しい物理学が第3の物理学となりました。
21世紀になり、人工知能と機械学習の爆発的発展によって新しい第4の物理学としての学習物理学が産声を上げました。
機械学習を使って物理学を理解する、あるいは物理学を使って機械学習を理解するということが始まっています。
永井研究室では主に機械学習を使って物理学を理解することをメインターゲットとして研究を進めています。
物理学ではハミルトニアンで記述される理論模型は非常に正確に現象を記述します。一方でその計算はとても大変です。
例えば量子力学を使った場合は電子の動きを予測することは非常に難しく、物理学者の代わりに機械がやったら何が起きるかに興味を持っています。
機械がモデルを作りシミュレーションする。通常は結果が異なるかもしれませんが、きちんと正しい結果になる自己学習モンテカルロ法を開発しました。
機械が作ったモデルと物理学者が作ったモデルを合わせて新しい現象を探っています。
高次元の揺らぎが3次元空間に影響を与える様子の概念図
Credit: UTokyo ITC/Shinichiro Kinoshita
アルミニウム原子の拡散経路(黄)と、高次元空間の揺らぎで出現する仮想アルミニウム原子(緑)
同変トランスフォーマーを用いた、スピン系に対するニューラルネットワーク
超伝導磁束近傍における局所状態密度の計算結果
永井准教授からのメッセージ
食わず嫌いはもったいない。 AIと物理の研究をすることになったのはたまたま。
意外と近いと分かって面白くなった。ターニングポイントは想定外からやってくるので、視野を広くもってまずやってみることが大事。
SF小説がとても好きでした。物語の中で書かれていることが本当に起こることなのか、それともフィクションなのか、区別がつかないことに大きな関心がありました。特に量子力学に興味があったので、大学では応用物理を選びました。
超伝導に強い関心を持ち、迷わず大学院に進学しました。運よく国立の研究所から内定をもらい、アメリカのMITに留学もできました。
留学先で研究者に声をかけられ、AIと物理の研究をすることになったのです。日本でも流行り始めたときで、帰国したらいきなり「第一人者」になっていました。
北海道で育ち、子どものころから競技スキーをしていましたが、周りには自分よりずっと上手な人が多かったり、高校受験では挫折も体験しましたが、今振り返ると大切な経験になっています。
仕事道具は、紙と鉛筆とコンピューター。だから何が運になるかは分からない。興味の幅を広げてみると、成長につながりますよ。
キーワード
機械学習 / 物性理論 / 計算物理 / 学習物理
プロフィール
2005年3月 北海道大学工学部応用物理学科卒業
2010年3月 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。博士(理学)
2010年4月-2019年6月 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 研究員
2016年11月-2017年10月 米国マサチューセッツ工科大学物理学科客員研究員
2018年8月-2023年3月 国立研究開発法人理化学研究所革新知能統合研究センター客員研究員
2019年7月-2024年1月 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 副主任研究員
2024年2月-現在 東京大学情報基盤センター学際情報科学研究部門 准教授
2024年11月-現在 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 兼担
Information Technology Center, Interdisciplinary Information Science Research Division
食わず嫌いはもったいない。
277-8561
千葉県柏市柏の葉5-1-5
東京大学大学院新領域創成科学研究科
物質系専攻
永井佑紀准教授研究室
080-7318-9755
nagai.yuki@mail.u-tokyo.ac.jp
物質系専攻の目標
物質系専攻の目標は、未開拓な自由度を操ることができる舞台=“新物質”を開拓すること、その舞台から生み出される未知の現象を探索して優れた機能を引き出すこと、 また、その機構を解明すること、そして、それらの現象・機能の応用分野を開拓することで人類社会の発展に貢献することにあります。
物質系専攻
〒277-8561
千葉県柏市柏の葉5-1-5
東京大学柏キャンパス
新領域創成科学研究科
Mail:ams-office(at)ams.k.u-tokyo.ac.jp
(at) を @ にしてください。