秋月 信
(あきづき まこと/准教授/環境学研究系)
環境システム学専攻/地域環境システム学/環境プロセス工学分野
略歴
2008年3月 東京大学工学部化学システム工学科 卒業
2013年3月 東京大学大学院新領域創成科学研究科環境システム学専攻 博士課程修了(博士(環境学))
2013年4月 東京大学大学院新領域創成科学研究科環境システム学専攻 助教
2018年4月 東京大学大学院新領域創成科学研究科環境システム学専攻 講師
2023年4月より現職
教育活動
大学院:環境化学プロセス論、環境システム学基礎論I、環境システム学概論、環境システム学プロジェクト、分離工学特論
学部:分離工学II、化学工学実験及演習、環境システム工学概論、学術フロンティア講義(社会を先導する化学システム工学)、初年次ゼミナール理科(環境に優しい化学のものづくりを考えよう)
研究活動
我々の生活は数多くの化学製品に支えられているが、それら化学製品のモノづくりをいかに環境調和型に行うかについて、グリーンケミストリーやグリーンエンジニアリングをキーワードに研究を行っている。 具体的な対象としては、超臨界流体を利用した化学プロセスの研究を進めている。超臨界状態の物質、特に水は、有機物が可溶・無機物が不溶といった溶媒特性の特殊性と、それらが温度と圧力によって大幅に可変という調節可能性を持つ。そのため、水やアルコール、二酸化炭素などの低環境負荷の溶媒を用いつつ、様々な特徴を持つ反応の場を実現することが期待される。この性質を最大限に利用して、有機合成や無機ナノ材料合成、分解・リサイクル、未利用資源の利用といった技術の開発を行っている。また超臨界流体の溶媒効果の解明、固体触媒との組み合わせ、反応器設計といった、応用技術を支える学術基盤の構築に取り組んでいる。
文献
1) Wenjing Chen, Makoto Akizuki, Yoshito Oshima, In-situ regeneration of NbOX/TiO2 catalyst deteriorated due to coke deposition via supercritical water oxidation, The Journal of Supercritical Fluids, 194 (2023) 105857.
2) Makoto Akizuki, Kohki Ito, Yoshito Oshima, Effects of Alcohol Concentration on the Reactions of Ethyl Acetate and Diethyl Malonate in Hot Compressed Water–Alcohol Mixed Solvents, Industrial & Engineering Chemistry Research, 58 (2019) 13076-13084.
3) Makoto Akizuki, Yoshito Oshima, Acid catalytic properties of TiO2, Nb2O5, and NbOX/TiO2 in supercritical water, The Journal of Supercritical Fluids, 57 (2018) 5495-5506.
4) Makoto Akizuki, Yoshito Oshima, Isomerization of α-Pinene to Monocyclic Monoterpenes in Hot Compressed Water Using TiO2 and WOX/TiO2 Catalysts, Industrial & Engineering Chemistry Research, 56 (2017) 6204-6212.
5) Makoto Akizuki, Yoshito Oshima, Kinetics of N-substituted amide hydrolysis in hot compressed water using ZrO2 catalyst, Industrial & Engineering Chemistry Research, 54 (2015) 3611-3617.
6) Makoto Akizuki, Kengo Tomita, Yoshito Oshima, Kinetics of solid acid catalyzed 1-octene reactions with TiO2 in sub- and supercritical water, The Journal of Supercritical Fluids, 56 (2011) 14-20.
など。
その他
所属学会:化学工学会、触媒学会。化学工学会超臨界流体部会にて、エネルギー分科会の副代表者を務めている。
将来計画
超臨界を含む高温高圧水の面白い性質を利用した化学反応の研究は、化学反応における溶媒の研究の中では新規性が高い分野であるが、それでも20~30年を超える歴史を有する、古くて新しい研究分野である。その応用技術についてはすでに実用化レベルに達しているものも存在し、例えば高温高圧水を利用したプラスチックの油化は、カーボンニュートラルの達成に向けた技術として近年注目されている。一方で、この分野の学理や工学的応用には数多くの取り組むべき課題が残されている。今後、超臨界流体の応用プロセスの新たな展開に挑戦しつつ、学術を深める研究を展開していきたい。
教員からのメッセージ
新領域創成科学研究科は、様々な分野の研究者の考え方に触れ、自由な考え方に基づいて研究を進めることが出来る優れた環境にあると思います。それぞれの研究者の個性が色濃く反映された世界で唯一の研究を形作っていく面白さを、是非皆さんと一緒に体験できればと思います。