大島 義人
(おおしま よしと/教授/環境学研究系)
環境システム学専攻/地域環境システム学/環境リスク評価学分野
略歴
1984年3月東京大学工学部合成化学科卒業
1989年月東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻博士課程修了(工学博士)
1989年4月東京大学工学部合成化学科助手
1993年8月東京大学工学部化学工学科講師
2000年1月東京大学環境安全研究センター助教授
2003年4月東京大学環境安全研究センター教授を経て2005年6月より現職
教育活動
大学院:環境技術開発論、環境安全システム論
工学部:反応工学1、化学工学及び演習1、プロセス設計及び演習
研究活動
環境調和型溶媒として注目されている超臨界流体の工学的利用について研究を行っている。超臨界流体とは、物質固有の臨界点を超える温度圧力条件の流体であり、単一の物質でも操作条件によって物性を大きく変化させることができる。特に超臨界水は、温度や圧力の操作によってイオン積や誘電率が幅広く変化するため、無機反応に適したイオン性の雰囲気から、無極性溶媒に匹敵する高い有機物溶解性を実現する雰囲気まで、目的に応じて反応場を選択することが可能となる。このような特徴を活かし、安価で無毒である水を従来の有機溶媒に替わる反応場として利用することによって、新しい環境負荷低減技術の開発を目指している。
研究対象は、超臨界水酸化反応と呼ばれる有害廃棄物の分解(文献1)や、固体触媒を用いた有機合成(文献2)、ナノ粒子やポリマーなどの無機材料合成(文献3)など、多岐にわたる。これらの各分野において、化学反応速度論や反応工学をベースとした反応の設計、解析、制御を行うことによって、超臨界流体中の化学反応に関する基礎的研究から、新しい工学技術の開拓まで、幅広く研究を進めている。
文献
1)Li Hong and Yoshito Oshima, “Elementary Reaction Mechanism of Methylamine Oxidation in Supercritical Water”, Industrial & Engineering Chemistry Research, 44, 8756-8764 (2005).
2)Kengo Tomita and Yoshito Oshima, "Stability of Manganese Oxide in Catalytic Supercritical Water Oxidation of Phenol", Industrial & Engineering Chemistry Research, 43, 7740-7743 (2004).
3) Junichi Otsu and Yoshito Oshima, "New Approaches to the Preparation of Metal or Metal Oxide Particles on the Surface of Porous Materials Using Supercritical Water: Development of Supercritical Water Impregnation Method", Journal of Supercritical Fluids, 33(1), 61-67 (2005).
その他
所属学会:化学工学会、日本化学会、石油学会。安全工学会。化学工学会では超臨界流体部会に所属し、現在部会幹事を務めている。
各種委員会等(2002年度以降):文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会水資源委員会委員(2002)、日本学術会議社会環境工学研究連絡委員会委員(2003~2004)、日本学術振興会特別研究員等審査会専門委員(2003~2004)、化学工学会継続教育委員会委員(2003~)、日本化学会環境・安全推進委員会事業小委員会委員(2003~)、同委員長(2007~)、日本化学会速報誌編集委員(2004~2007)、大学等環境安全協議会理事(2005~2007)、同評議員(2007~)など。
将来計画
本学環境安全研究センターに在職した5年余りの経験を通じて、大学における環境安全の現状と課題、環境安全教育の重要性などを痛感してきた。日本が科学技術立国として発展するためには、それを支援する基盤として、環境安全に十分な配慮がなされた研究教育環境の整備が不可欠である。大学における研究の多様化や複雑化が今後も進むことが予想される中で、化学物質の環境リスクを正確に評価し削減するための環境技術の開発を進めるとともに、「環境安全学」に立脚した具体的な環境安全教育プログラムを整備し、環境安全配慮を身に着けた人材を排出することで社会的貢献を果たしていきたいと考えている。
教員からのメッセージ
その昔、研究は金持ちの道楽だったと言われています。自分の可能性を信じ、愚直に楽しみながら知的好奇心を満たしていくことは、最高の道楽だと思います。自分のために時間を使い、自分のために研究ができることの贅沢を謳歌し、充実した学生生活を送ってください。