研究科長挨拶

研究科長からのご挨拶

徳永 朋祥

東京大学大学院新領域創成科学研究科長

東京大学大学院新領域創成科学研究科 研究科長の徳永朋祥です。私共の公式ホームページを訪れてくださり、ありがとうございます。

新領域創成科学研究科の名称は、「新領域を創成する科学」を志向する研究科として成長・発展することを通し、世界の将来に貢献することを意図して、研究科が創設された1998年に名づけられたものです。

科学の重要な活動の一つは「真理の探究」であり、これまで、様々な領域において、研究を深化させることでその発展がなされてきました。このような活動が重要であることは論を待ちませんが、一方で、現代社会では、既存の領域を深めるだけでは解くことが困難である課題が山積みとなっています。人類が現在抱える深刻な課題に立ち向かうこと、さらには、豊かな社会を創造していくための重要なアプローチが、領域を超えて協働するというアクションであり、領域を超えるという発想を持つことだと思います。

私自身は、私たちが生活する社会の基盤となる地下環境の保全と有効活用、地下を流れる地下水、水循環などを研究の対象としています。そこでは、物理・化学・数学等を駆使した基礎的な研究を丁寧に行っていくことに加え、社会と自然環境との関わり、人の気持ちや想いを意識した研究活動も不可欠です。幅広い観点からの研究は、様々な学問分野との交流・協働・相互の研鑽等を通して行われるものであり、それ自体が、「新領域」を構築するものであるという感覚を大事にしながら研究を行っています。

本研究科は、その創設以来、25年間が経過しました。その間、「新領域を創成する」という精神を受け継ぐ多くの修了生を様々な分野に送り出してきました。東京大学の百五十年近い歴史の中で、25年間はわずかともいえます。しかし、本研究科のこの期間の活動の密度は濃く、国際的に高い評価を受けた多くの研究成果を上げています。

さて、柏キャンパスが立地する柏の葉地区は、都市開発のフロンティアとして国内外に知られており、これからも更なる発展が期待される地域です。本研究科は、柏の葉地区において、最先端のまちづくりの仕組みや地域ネットワークの創出にも貢献してきました。

現代社会は、極めて早いスピードで変化し、発展していますが、本研究科は、柏の葉地区における社会の現実と深いかかわりを持つ教育研究活動を実践すること等を通し、社会の動きを俊敏に感じ取り判断する洞察力、時代と共に変化する社会課題に対峙する実践力、人類社会や生態系、地球環境等の将来が豊かなものであるためのビジョンを構築し、社会と共有することを牽引する実行力を養成するとともに、既存の学問領域を超えた視点を持ち、「知の冒険」を力強く実践する場として発展を続けていきます。

本研究科は、「新領域創成」を目指すチャレンジの機会と場を学生、教職員、関係者の方々と共に創出していきます。ぜひ、私共の活動に継続して興味をお持ちいただき、ご一緒に未来に貢献する研究教育活動に関わっていただけますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

徳永 朋祥
東京大学大学院新領域創成科学研究科長