教員紹介

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山田 弘司

(やまだ ひろし/教授/基盤科学研究系)

先端エネルギー工学専攻/核融合エネルギー工学/核融合学(磁場閉じ込め実験)

略歴

1982年3月 東京大学工学部原子力工学科卒業
(1984年6月~1985年3月 プリンストンプラズマ物理研究所客員研究員)
1987年3月 東京大学大学院工学系研究科原子力工学専攻博士課程修了 工学博士
1987年4月 名古屋大学プラズマ研究所助手
1989年5月 核融合科学研究所助手(改組による配置換)
(1993年3月~1994年1月 マックスプランクプラズマ物理研究所文部省在外研究員)
1995年9月 核融合科学研究所助教授
(2001年4月~2002年3月 京都大学客員助教授)
2004年4月~2020年1月 自然科学研究機構核融合科学研究所教授
(2004年4月~2018年3月 総合研究大学院大学教授兼務)
2015年4月~2020年1月 自然科学研究機構核融合科学研究所フェロー
2017年7月~2020年1月 東京大学大学院新領域創成科学研究科客員教授
2020年2月 東京大学大学院新領域創成科学研究科教授

教育活動

大学院:プラズマ核融合学、核融合エネルギー工学
工学部:核融合工学・炉設計

研究活動

プラズマの磁場閉じ込め実験を基盤としたプラズマ物理および制御熱核融合に関する研究を進めています。エネルギー問題が今世紀、ますます深刻になっていくことは想像に難くありません。核融合はこの問題に対する考え方を根本的に変えることを可能とするものです。核融合を起こすためには1億度を越える温度が必要で、燃料となる水素は「プラズマ」という電離した気体になります。このプラズマは生物ほどではないにしろ大変な複雑系ですし、核融合炉という工学システムもしかりです。1億度のプラズマを作るだけならできているのですが、核融合エネルギーの実現に向けて、まだまだ深い科学的理解(ものの見方)を獲得し、極限環境での高度な制御技術(ものの転がし方)を確立していかねばなりません。そのため、大型ヘリカル装置実験(岐阜県土岐市)を中核として、非線形性に満ちたプラズマの振る舞いを予測する物理モデルの構築と燃料サイクルなどのシステムダイナミクスの制御に取り組んでいます。




LHD実験の制御室


エネルギー閉じ込め時間のスケーリング則


プラズマ中で溶発する固体水素燃料ペレット

文献

1) H.Yamada, K.Tanaka, R.Seki, C.Suzuki, K.Ida, K.Fujii, M.Goto, S.Murakamki, M.Osakabe, T.Tokuzawa, M.Yokoyama, M.Yoshinuma "Isotope Effect on Energy Confinement Time and Thermal Transport in Neutral-Beam-Heated Stallarator-Heliotron Plasmas" Physical Review Letters 123 (2019) 185001.
2) H.Yamada, M.Yokoyama, R.Seki, C.Suzuki, S.Murakami, Y.Yoshimura, H.Yamaguchi, S.Maeta "Effect of Rotational Transform on Thermal Transport in Stellartor-Heliotron Plasmas on LHD" Journal of Fusion Energy Vol.36, Issue 6 (2017) pp.197-203.
3) H.Yamada, R.Kasada, A.Ozaki, R.Sakamoto, Y.Sakamoto, H.Takanega, T.Tanaka, H.Tanigawa, K.Okano, K.Tobita, O.Kaneko, K.Uchigusa "Development of Strategic Establishment of Technology Bases for a Fusion DEMO Reactor in Japan" Journal of Fusion Energy Vol.35, Issue 1 (2016) pp.4-26.
4) R.Sakamoto, H.Yamada "Prospects for Self-Burning Operation in Heliotron-Type Fusion Reactor"IEEE Transactions on Plasma Science Vol.44 (2016) pp.2915 - 2922.
5) H.Yamada, R.Kasada, A.Ozaki, R.Sakamoto, Y.Sakamoto, H.Takenaga, T.Tanaka, H.Tanigawa, K.Okano, K.Tobita, O Kaneko, K.Ushigusa“Japanese Endeavor to Establish Technological Bases for DEMO" Fusion Engineering and Design Vol.109-111 (2015) pp.1318-1325.
6) H.Yamada "Magnetic Confinement Experiments: Plasm-Material Interactions, Divertors, Limiters, Scrape-Off Layer, Stability, Wave, Current Drive, Heating, Energetic Particles" Nuclear Fusion Vol.53, No.1 (2013) pp.104025.
7) H.Yamada "Overview of Results from the Large Helical Device" Nuclear Fusion Vol.51, No.9 (2011) pp.094021
8) H.Yamada, K.Watanabe, S.Sakakibara, Y.Suzuki, S.Ohdachi, M.Kobayashi, H.Funaba "Study of High-Beta Plasmas in a Helical System" Contributions to Plasma Physics Vol.50, No.6-7 (2010) pp.480-486.
9) H.Yamada, J.Harris, A.Dinklage, E.Ascasibar, F.Sano, S.Okamura, J.Talmadge, U.Stroth, A.Kus, S.Murakami, M.Yokoyama, C.Beidler, V.Tribaldos, K.Watanabe "Characterization of Energy Confinement in Net-Current Free Plasmas Using the Extended International Stellarator Database" Nuclear Fusion Vol.45, No.12 (2005) pp.1684-1693.

その他

プラズマ・核融合学会、日本物理学会、日本原子力学会、米国物理学会(フェロー)会員。
日本学術振興会学術システム研究センター専門研究員。文部科学省研究開発法人審議会委員。マックスプランクプラズマ物理研究所科学諮問委員会委員。ITER理事会科学技術諮問委員会委員。文部科学省学術調査官(2004-2010)、文部科学省科学官(2010-2016)。

将来計画

本研究室では、核融合エネルギーの実現を目指した超高温プラズマの研究にあって世界的にインパクトある成果をあげたいと考えています。このため、大型ヘリカル装置LHDを軸とし、海外を含めた実験プロジェクトにおける共同研究を通じて、エネルギー閉じ込めや熱・粒子輸送に関わる現象の理解と制御に取り組みます。中心課題として水素同位体効果とプラズマ消滅現象の解明へインフォマティクスを活用することを考えています。



LHDで生成維持される超高温プラズマ

教員からのメッセージ

研究では結果の良し悪しよりも、その結果に至る考え方が正しいかどうかを問うことを大切にすべきと思います。実際、失敗ばっかりです。「好奇心」、「正義感」、「他人との協調」を大事にし、安直に流れないで世界最先端にいるワクワク感を一緒に感じてみませんか?そして、それが世界を変えるものだとしたら。核融合はその一つです。

ホームページのURL

http://www.ae.k.u-tokyo.ac.jp/laboratory/yamada-lab/