2010年度第1回学融合セミナー
- 講義:
- 2010年4月21日 16:30~18:00
- 場所:
- 新領域基盤棟大講義室(2C0)
鉄鋼スラグのリサイクルと海洋環境での利用
月橋 文孝 教授
鉄鋼製造プロセスでは、製錬により鉄鉱石から鉄鋼を取り出したあと、酸化物 を主体とするスラグとよばれる副成物が大量に発生する。環境負荷低減のため、 スラグの発生量の低減とリサイクル利用の促進が必要であり、そのための方策、 特に最近注目されている海洋環境での植物の成長促進のための土壌材料としての 利用などについて説明する。
ビール酵母の危機
大矢 禎一 教授
日本国内だけでも100近い数のビール会社がある。世界にはビールの銘柄が 数千あると言われており、それぞれが特徴的なビールを製造している。ビールの 主な原料は大麦、ホップ、ビール酵母であるが、アルコール発酵時に使用する ビール酵母の活性を適切に把握して、活性の高い優良な酵母を選別することは、 ビールの味や品質管理の保証につながるため、ビール業界では簡便な酵母活性評 価法が求められてきた。今回の講演ではビール酵母の新しい活性評価法について 我々が行って来た研究を紹介する。
「農」が再編する成熟社会のランドスケープ
横張 真 教授
人口減少や超高齢化により,今後わが国で起こるとされる都市の縮退は,空閑 地の急速な増加など,これまでわが国の都市が経験したことのない新たな課題を もたらすとされる。従来の都市計画は,拡大する都市の制御を目的として制度設 計がなされてきたため,縮退という新たな課題には有効な手立てを持たない。 本発表では,こうした事態に対し,「農」を基軸に据えた新たな都市再編の枠 組みの提示を試みる。農は,低炭素化という,今日の都市が直面するもうひとつ の主要課題に対する答えをも用意する。都市が農を内包することは,わが国の都 市の伝統のひとつとも言える。「農」を基軸に据えた都市の再編は,わが国の風 土に見合った,古くて新しい都市像の確立とも言えるのではなかろうか。