2010年度第2回学融合セミナー
- 講義:
- 2010年5月26日 16:30~18:00
- 場所:
- 新領域基盤棟大講義室(2C0)
グラフェン(究極のナノシート)の化学的合成
斉木 幸一朗 教授
グラファイト(黒鉛)は熱的,機械的,電気的,化学的に優れた性質を持ち, 古来,さまざまな分野で広く使われてきた素材である.2004年にマンチェスター 大学のGeimらによってその1層(グラフェン,厚さ0.3 nm)が単離され興味深い 物性が示されて以来,世界的に研究が広がっている.本セミナーでは,将来のデ バイス応用に適した,迅速かつ大量にグラフェンを得る化学的な手法とその特長 について紹介する.
母性遺伝と性の進化
河野 重行 教授
先端生命科学専攻の入試案内書の表紙は、最初に入試をやった1998年から変 わっていなくて、ずっと赤ちゃんがデザインされているのをご存知の方も多いだ ろう。しかし、この赤ちゃん、ミトコンドリアは母親からしか遺伝していないの は意外と知られていない。ミトコンドリアや葉緑体が母性遺伝すると聞いてはい ても、それがどうして起こるのか知らない方も多いだろう。今回は、母性遺伝を 巡る「どうして?」にお答えする私たちの研究のいくつかを紹介するとともに、 大きな卵と小さな精子、性が雌雄の2つにしか進化しなかった背景も探る。
集積化電極基板を用いた神経回路活動計測
神保 泰彦 教授
化学センサの研究開発が進み、ウェットな環境下で動作する電子デバイスが広 く用いられるようになりつつあります。ここではマイクロ電極を集積化した基板 上で神経細胞を培養し、その集団としてのふるまいを観測する試みについて紹介 します。神経系と同様に電気的活性を有する心筋系の活動計測、さらには再生医 療等への応用も視野に入れて研究を進めています。